サウジ・韓国は
すでに「食糧不足」の未来に備えている

中国、インド、ロシアも食料価格が高騰しやすいが、防衛策は取りやすい。ロシアと中国は共に大型穀物生産国であり、補助金によって食料価格の上昇を抑える財政的余裕もある。富裕国は国際市場で食料を確保することもできる。

一方、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、韓国は、外国の耕作地を借り上げる長期契約を結んでいる。英王立国際問題研究所の『資源未来報告書』は、土地だけでなく、鉱物などの資源をめぐり「新しい争奪戦」が起きていると指摘している。そのために2000〜2010年に取得された土地は、イギリスの国土の8倍の広さにもなる。このうち134万平方キロはサハラ以南のアフリカだ。

「土地確保」投資は、受け入れ国側には経済的なチャンスだが、未来の食料の入手可能性に対する不安、さらに未来の国際市場で適切な価格で適切な食料を確保できるのかという不安の表れでもある。英王立国際問題研究所の報告によれば、サハラ以南のアフリカへの投資の5分の1は、中東とりわけペルシャ湾岸諸国からのものだ。

もちろんマルサスの時代と同じように、こうした問題には解決策がある。たとえばテクノロジーによって生産量を増やすことができる。また最近、ケニアの砂漠地帯で、世界最大級の地下帯水層が発見されたというニュースもあった。ニューヨーク市の水使用量の3倍近い、年間34億立方メートルもの水が継続的に利用できるという。この地下深くに眠る帯水層は、衛星写真と地震データに基づき発見された。

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