言語を習得するプロセスで語彙力は非常に重要だが、ただ単語を覚えるだけでは実際のビジネスの場面で使えない。外資系銀行でヴァイスプレジデントを務めた新条正恵氏によれば、高校英語の2000~3000語に自分が属する業界の専門用語を覚えることがカギだという。その覚え方のコツを紹介する。

基本の単語は高校レベルでOK

 「単語はどうやって覚えたら良いでしょうか?」

 学生時代によく単語テストを受けていた影響でしょうか、英語学習=単語の習得と考えている人が今でも多いようで、よくいただく質問です。言語を習得する過程において、語彙を増やすというのはとても大切なことです。しかし英語をビジネスの場面で使っていくためには、これらの記憶した語彙は単語テストで書けるというレベルではなく、いつでも使いこなせるようになって初めて有用となります。

 そもそもビジネスの場面において、必要な語彙力とはいったいどのくらいなのでしょうか? 第1回のビジネス英語は「高校英語+α」!?では、ビジネスの場面において必要な単語数は2000~3000単語というのが基本、というお話をしました。今や日本で働くビジネスパーソンにとって、受験がほぼ必須となっているTOEICテストでも“3715単語の語彙力があれば、95%を理解できる”(Utilizing the British National Corpus to Analyze TOEIC Testsより抜粋)とされています。

 実際に、グローバル社会で英語を使って仕事をしていくには、これらの基本の単語にプラスして業界用語を知っていることが必要となります。建築業界であれば建築や設計に関する用語、金融業界であれば金融商品やトレードに関する用語、管理職であればマネジメント用語などです。私たちが就職したときにも、日本語でこれらの用語を覚えなければならなかったように。