いくらラインを引いても、まず忘れる、まず開かない

より大事なのは、もう1つの理由です。これまたシンプルなのですが、「無意味だから」。それだけです。

たとえば、重要そうな箇所に線を引く人は、なぜそんなことをするのでしょうか?
理由はいろいろあると思いますが、大きく2つあると思います。

(1) その箇所を覚えておくため
(2) その箇所をあとで見返すため(目印として)

でも、考えてみてください。まず、線を引いたくらいで、その部分が記憶により強く残ったりするものでしょうか? 記憶力の優れた人であれば、そういうこともあるのかもしれません。

しかし大半の人は、線を引いたという事実に安心し、その瞬間から内容を忘れていたりしないでしょうか?

自分の読書に悩んでいたころ、僕も断腸の思いで「ライン引き」をしていた時期があります。

たしかに線を引きながら読書すると、なにかアクティブなことをしているような気になれます。読み終えた本をパラパラめくったときに、あちこちに線が引かれているのを見て、「おー、よく読んだな~」という不思議な満足感も得られたりする。

でも、それだけなのです。本からなにかを得たと「勘違い」しているだけで、翌日にはすべては記憶の彼方に流れ去ってしまっています。

覚えようとするから忘れる!
「記憶」せず「記録」する読書法

僕が提唱する「フローリーディング」は、知識をため込もうとするストック型の読書に対するアンチテーゼであり、読書のプロセスを楽しむことに軸足を置いています。