国内の利用者が約1000万人となったツイッターをはじめ、ミクシィ、YouTube、ブログなど、消費者同士がつながり合い、マスメディアを通さずに情報をやり取りする、いわゆる「ソーシャルメディア」が大きな力を持ち始めています。
なにしろ消費者たちは、ソーシャルメディアを通じて自分の興味・関心を語り合うなかで、さまざまな企業、商品、サービスを話題に上げています。その場にいない企業は、自分たちの与り知らないところで繰り広げられている大量の会話を聞き逃すことになるわけです。
知らないところで勝手に噂されていることは、決して愉快なことではないかもしれません。しかし、ソーシャルメディアの中での存在感が薄く、だれにも話題にされないことのほうを、むしろ企業経営者は恐れるべきかもしれません。
それより、ソーシャルメディアで繰り広げられている話題のなかに、当事者である企業が参加して、消費者と直接コミュニケーションをとり、親密な関係を構築できれば、彼らはその企業にとってこの上ない“上客”となります。
さらに、そんな親しみやすく正直なやり取りがその他の潜在顧客の目にも触れることで、より多くのファンを獲得することができるはずです。
今回の特集は、ツイッターなどのソーシャルメディアを使ったマーケティングの特集です。企業と顧客のあいだで理解や共感に基づく「つながり」を構築し、さらにそれを複数の顧客のあいだで共有することで、共通の価値観を持つ場(コミュニティ)を形成する。
今後の企業活動において、そうした発想は欠かせません。先進事例とともに、これから始めようとする場合の注意点などをまとめてみました。
ただ、ツイッターやフェイスブックなどのプラットフォームを使えば、最先端のテクノロジーを利用した効率的なマーケティングができる──。そう考えているとしたら大間違いです。
企業にしてみると、消費者とのコミュニケーションに関する“総合力”が試される時代になったとも言えます。要するに、テレビや新聞などのマス広告とは違って、きめ細かく誠実な、極めて人間くさい振る舞いが必要になるわけで、効率とはほど遠い世界に足を踏み込む覚悟が必要となります。
ソーシャルメディアを使ったマーケティングで成功している事例を取材すればするほど、そうした難しさを痛感させられもしました。
『週刊ダイヤモンド』のツイッターアカウント(@diamondweekly)も、2万7000人を超えるフォロワーがいて、日々ここで情報発信し、読者と交流するなかで、ソーシャルメディアの威力と、運用の難しさをを思い知らさせています。
われわれもまた、この特集をこれからの活動に活かしていきたいと思っています。
(『週刊ダイヤモンド』副編集長 深澤 献)