営業、説明会、発表会……。社外プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか?そこで、ソフトバンクで孫正義氏のプレゼン資料をつくった著者が、秘伝の「社外プレゼンの資料作成術」を全公開。本連載では、その「シンプル&ロジカル」かつ、相手の心を動かす、「超」実践的なノウハウをお伝えします!
「多画像スライド」でインパクトを生む
プレゼン資料では、1枚のスライドに1枚の写真を使うのが基本ですが、要所要所で多くの写真を使ったスライドを挟むのも効果的です。ケース・バイ・ケースですが、3~5分のプレゼン(30~50枚)であれば1~2枚が上限と考えていただければいいと思います。
私は、これを「多画像効果」と呼んでいますが、大きく2つの効果が期待できます。まず第1に、スライドにインパクトが生まれます。下図をご覧ください。
これは、IT企業が自社システムを販売するためのプレゼン資料のエンディングのスライドです。商品に込めた「最先端のITで未来を制する」という「思い」をキーメッセージで伝えるとともに、写真によって「システムを導入すれば、社内で笑顔が溢れる未来が生まれる」ことを表現することで効果的な余韻を伝えようとしているわけです。(1)と(2)を見比べれば、多画像を使った(2)のほうが表現力が豊かで、ワクワクした未来を想像しやすいはずです。
ちなみに、私は、エンディング・スライドのほとんどを「多画像スライド」にしています。社外プレゼンは、お客様の課題を解決して、明るい未来を提案するものですから、そのほとんどはハッピーエンドとなります。そして、ハッピーエンドを最も効果的に演出するのが、「みんなが笑顔になっている様子」だからです。そこに、企業理念や商品に込めた「思い」をキーメッセージとして表示すれば、よい余韻を与えるとともに、説得力を生み出すことに繋がると思います。
ぜひ、皆さんも、お客様が笑顔になっている姿を想像しながら、多画像のエンディング・スライドをつくってください。きっと、素晴らしい効果を生むはずです。
「多画像」で幅広い人の共感を得る
第2に、多画像にすることによって、幅広い人にアピールすることができます。下図は、旅行代理店が「台湾旅行」をPRするときの社外プレゼン資料。
写真1枚の(1)よりも、多画像の(2)のほうが多くの人の興味を惹くに違いありません。なぜなら、お客様が旅行に求めるものは多様だからです。ある人は「食」に興味があり、ある人は「観光」に興味があります。だから、台湾の魅力を多角的に示したほうが、より多くのお客様の興味を惹きつけることができるわけです。
聞き手は、自分の経験や趣味嗜好、願望や不安にマッチする写真に強く反応します。そして、それがフックとなって、プレゼンへの興味や共感が生み出されます。「多画像効果」を上手に生かせば、それだけ多くの人にとって意味のあるプレゼンにすることができるのです。
ただし、たくさん写真を並べればいいというわけではありません。
たとえば、笑顔をたくさん並べる多画像スライドの場合に、「かっこいいから」「写真の構図がいいから」などといった理由で、外国人の写真やモデル写真を並べても効果は見込めません。
なぜなら、人間は、自分と年齢やライフスタイルの近い人の写真に目がとまり、共感を覚えやすいからです。日本人向けのプレゼンで外国人の写真を見せても、「自分とは関係ない」と思われるだけですし、日本人であってもモデル写真であれば、なんとなくウソっぽく感じられてしまいます。
ですから、必ず、聞き手に親近感をもってもらえる写真で構成するようにしてください。身近な人やお客様にお願いして、自分で撮影した写真を使うのが最も効果的でしょう。