「他人のおすすめ本」を選り好みせずに読もう

そして、DJと書評家にも共通する部分があると思います。

ブックレビューで取り上げる本を選ぶとき、僕は掲載メディアごとの特性をかなり意識するようにしています。サイトによって読者の好みが違う以上、そのお客さんたちに喜んでもらえるような本を選ぶようにしているのです。

何万人ものパーティーピープルが集まるフェスで八代亜紀さんの「舟歌」をかけても意味がないのと同じで、「ライフハッカー」でライトノベルを紹介しても、大半の読者には感謝されません。

必ずしもこちらの判断が当たるわけではありませんが、やはり相手の好みを汲み取ろうとする努力って大切だと思うのです。

なぜこんな話をしているのかといえば、誰か他人に向けて本を選んでみること、そして、他人に本を選んでもらうことは、読書を楽しむうえで重要な意味があると考えているからです。

好きな本を人にすすめたくなることは誰にでもあると思いますが、それをさらに拡大してみてください。

友人でも恋人・夫婦でも同僚でもいいので、お互いに「この人はこんな本が気に入るんじゃないかな」という1冊をすすめ合ってみる。他人からすすめてもらった本が自分の気に入るかどうかは未知数ですが、ひょっとすると視野が広がったり新たな好奇心が芽生えたりといった体験ができるかもしれません。DJのように本を選んですすめ合うという方法、ぜひ試してみてください。

「でも、そんな読書好きな人がまわりにいないんだけど……」

そういう人のために僕は書評を書いています。巻末にURLを記載しておきましたので、こちらもぜひ本選びの参考にしてみてください。