「1日1冊」ペースで「週6冊」読むフロー・リーディングでは、本の選び方も重要な要素になってくる。どんな選書術を組み込めば、読書をうまく習慣化できるのだろうか?

数年前までは「1ページ5分」かかるほどの超・遅読家だったにもかかわらず、「ライフハッカー[日本版]」などに月60本近くのブックレビュー記事を寄稿する印南敦史氏。新時代の読書術「フロー・リーディング」をまとめた『遅読家のための読書術』の内容をベースに、「読書スピードの遅さ」や「読書量の減少」に悩む人たちに役立つコンテンツをお届けしていく。

「読みたい本だけ」だと読書はマンネリ化する

毎週6冊の本を選ぶのだとして、そのときにはどんなことに注意すればいいでしょうか?

ポイントとしては、1冊か2冊くらいは「ちょっと読む気がしないくらいの本」を入れるようにすることです。いかにも自分が好きそうな本ばかり読んでいると、それはそれでマンネリ化してきます。

むしろ、これまで関心がなかったはずの本に感動するという体験こそが、読書の醍醐味の1つではないでしょうか? そうやって、自分の興味の範囲をどんどん広げていけるような仕組みを「本選び」の中に入れておくのです。

僕は音楽ライターとしてCDのライナーノーツも数多く執筆してきました。ライナーノーツというのは、CDの歌詞カードなんかのあいだに挟まっている「解説文」のこと。

音楽の趣味はかなり幅広いと自負していますが、執筆依頼をいただけるのは好きなジャンルや知っているアーティストのCDばかりではありません。むしろ、まったく興味がなかったアーティストのライナーも、これまでたくさん書いてきました。

大事なのは「興味を持ったことがなかった」のが過去の話だということ。ライナーノーツを執筆するにあたってしっかり聴き込んでいるうちに、そのアーティストや作品の魅力を発見することがほとんどなのです。