「ライフハッカー[日本版]」「NewsWeek日本版」などのニュースサイトに、月60本近くのブックレビュー記事を寄稿し、年間700冊以上の読書量を誇る人気書評家の印南敦史氏。そんな多読生活を送る彼も、数年前までは「1ページ5分」かかるほどの超・遅読家だったという。

遅読にもかかわらず、毎日1本の書評を書くことになった彼がつかんだ、新時代の読書術「フロー・リーディング」とは? 最新刊『遅読家のための読書術』の内容をベースに、「読書スピードの遅さ」や「読書量の減少」に悩む人たちにお届けする。

「自分は本を読むのが遅い」と感じている人に共通していることがある。それは「ずっと同じペースで行を追っている」ということ。すばやく読むためには、「ギアチェンジ」を繰り返しながら「緩急」をつける読書スタイルが欠かせない。

いちばん心地いい読書リズムを把握する

やや感覚的な話になりますが、読むときの「リズム」も遅読を脱するための流し読みにとっては重要です。

まずは本を読み進めるにあたり、自分にとって心地よい(読み進めやすい)一定のリズムを探し出してください。これは日常の読書を積み重ねることで自然と得られるものなので、それほど難しく考える必要はありません。

ふだんからどれくらい意識しているかという違いはあると思いますが、ある程度の本を読んできた人であれば、そういうリズムが決まってきているはずです。それがみなさんの「基本リズム」です。

このリズムが速いか遅いかは、それほど大きな問題ではありません。遅読家の問題点は、基本リズムが遅いことではなく、ずっと同じリズムをキープしながら本を読もうとしていることのほうにあるからです。

テンポを一定に保って読書をしようとすると、どうしても時間の進み方が「遅く」感じられます。なにもしないまま待たされる時間が長く感じるのと同じように、テンポが単調な分、それに伴って「じれったさ」が増すのです。