「プレッシャー」時に、有能か無能かが丸わかりになる
さらに、EMBAでは「自分がリーダーとしてプレッシャーを感じているときに、どのような反応、態度を示すか」といった心理テストをする。
いわゆる「エモーショナル・コントロール」に関するテストだ。
結果としては「周囲に対して攻撃的になる」「やる気を失って、逃げ出す」「責任逃れをする」「すぐに妥協をして、相手の言いなりになる」などさまざまなタイプが導き出され、それぞれに応じて教授からアドバイスが与えられる。
そもそもリーダーにとって「プレッシャーがかかったとき、自分はどのような反応をするのか」という視点はとても重要だ。なぜなら、窮地のときほどリーダーとしての真価が問われるからだ。
しかし、その自己認識を正しくできているリーダーは驚くほど少ない。
いかに普段は温厚で、部下の話に耳を傾けるタイプでも、プレッシャーがかかったときに攻撃的になるようでは、部下も信頼してついてきてくれなくなってしまう。
リーダー自身は「部下の話を聞くタイプ」と認識しているのに、部下はまるっきり異なるイメージを持つというギャップは、こんな齟齬から生まれているケースが多い。
これでは自らのリーダーシップが効果的に機能しないのも当然だ。つねにどんな環境でも自らのリーダーシップを効果的に機能させるためには、プレッシャーがかかったときの自分の反応と対処方法を知っておくことが重要なのだ。
ちなみに、私(山崎)は「攻撃的になりやすい」という結果が出て、プレッシャーがかかっているときほど「一呼吸置いて、自分がどんなリアクションをしているのかを客観的に観察すること」「まずは相手の話を聞いてから、物事を進めること」などのアドバイスを受けた(たしかに、この性格で何度も失敗してきたものだ)。
また岡田は、「過度のプレッシャーを受けると、逆に闘うやる気を失ってしまう」という結果になり、実感とは違う結果に驚いた。だが、改めてこれまでの失敗経験を振り返ると、「たしかにプレッシャーがきついと思考回路が停止し、気力を失ってしまいがちだ」と納得できるものを感じた。教授からは「そういうときのためにふだんからもっとアサーティブネス(自分の権利を効果的に主張する)力をつけなさい」とアドバイスを受けた(実際、グローバル企業では適切に自己主張できる力は非常に求められる)。
「プレッシャーがかかったときにどんな反応をするか」というのは、その場に遭遇すると冷静に対応できず判断を誤ってしまうリスクがあるので、ビジネスパーソンとしてとても大事な問題だ。いまリーダーとして活躍している人にも、これからリーダーを目指している人にもぜひ、常日頃から意識してもらいたいテーマの一つだ。