学生も企業も加熱する
「初日」へのこだわり

 リクルーター以外にも、企業は優秀な学生の確保に向けてさまざまな取り組みを行っている。

 例えば書類選考通過の案内。

 評価の高い学生と、そうでない学生では通過の案内が送られるタイミングが違う。

 つまり、評価の高い学生から順に面接の予約を入れてもらう仕組みになっているのだ。

 通過の案内が早かったAくんは「書類通過した!6月1日の面接予約が取れた!」と言っている一方で、案内が遅かったBくんは「6月4日以降しか枠がなかった…」と肩を落とすことになる。書類通過した学生にも、こんな具合で順位をつけているのだ。

 企業側の採用担当者に話を聞いても、「初日」へのこだわりは強い。

「初日とそれ以外の日程で面接をいれてくる学生は明確に扱いを変えている。初日の面接は通過率を高くして彼らに内定を出すことに集中している。2日以降に面接を入れてきた学生は他社が第一志望の可能性が高いため、深追いしても辞退されるだけだ」と語る。

大量発生する「内定辞退」問題

 ここまで読むと、企業のやり方に疑問を感じる人もいるかもしれない。

 しかし、企業がここまで「初日」にこだわらなければならないのには、理由がある。

 それは、売り手市場に伴う「大量の内定辞退」という問題である。

 2016年卒の採用活動を見ていても、企業側の混乱は相当なものだった。

 ある大手企業は内定辞退者が想定していた以上に出てしまい、パニックに陥った。

 そこで、「落選」の連絡をした学生に対して、「選考再開」の案内を送るという緊急措置をとることになった。案内を受け取った学生からは「落ちたはずの企業から、再度面接に来ませんか?と連絡を受けて相当ビックリした」との声を聞いた。

 せっかく内定を出しても、学生に逃げられてしまい、採用計画が大幅に狂ってしまう。そのため、志望度の高い学生を一人でも多く確保し、何としても彼らを囲い込みたい。

 選考される側である学生に注目が集まることの多い採用活動だが、実際は採用側も同じくらいの緊張感で日々を過ごしている。

 企業も学生を選ぶし、学生も真剣に企業を選ぶ。その結果として迎えた今日という日が、双方にとってベストな結果となっていることを心から願っている。