私たちが思っている以上に、仕事上のちょっとした工夫が、成果や評価に大きな差をうんでいた?!世界一のコンサルティングファームで世界7ヵ国のビジネスに携わった著者が、社内外の“できる人”たちの仕事の鉄則をまとめた翻訳書『47原則 世界で一番仕事ができる人たちはどこで差をつけているのか?』(原著タイトル“THE McKINSEY EDGE”)より、今日からでも役立つ成功原則の一部を紹介していきます。
今日のお題は「ストレスのある時ほど笑う」。当たり前すぎることかもしれませんが、分かっていてもなかなかできないことではないでしょうか。でも、笑顔はよい循環をうみだす起点となる、リーダーにとっては非常に手軽かつ便利な“スキル”なんです!。

 過去、強いストレスにさらされた時のことを思い出せますか。

 例えば、あなたに対してほかの出席者が徹底抗戦を決め込んだ会議を想像してみてください。会議室に足を踏み入れた瞬間から、会議が終わり帰っていいと言われるまで、その間ずっとあなたの頭を占めていたのは、どうやってこの会議を乗り切るかという、ただそれだけ。そっくり同じでなくとも、仕事上でときどき起こり得る、こうした針のむしろに座っているかのような出来事は誰しも経験があるでしょう。

 そんな時、あなたは笑顔で対処することができるでしょうか。

 どんなに厳しい状況であっても、必ずしもネガティブに捉えないことが重要です。試しに、あなたのメンターや上司、家族などで、にっこり微笑んでいる人を思い浮かべてみてください。

重要な商談や会議…緊張感のある場こそ笑おう<br />前向きさが周囲に伝染し、自分の自信が高まる!笑顔は強力なスキルでもある。ズルく使えというのではなく、その効果をポジティブに受けとめて日ごろから意識しておこう

 ほら、気がつきましたか?あなた自身もつられてちょっと微笑んだのではないでしょうか。

ポジティブな状態にある人を見ると、人はそれを真似る傾向にあります。これは自然な反応です。したがって、まさか笑顔を見せるとは誰も思っていないような状況で微笑むと、特に効果的です。非常に素晴らしいスキルですが、リーダーにとって極めて便利なスキルだと認識している人はごくわずかです。実際のところ、出世の階段を登れば登るほど、本心を隠して笑顔を見せることがうまくなっていくものです。

物事を多面的に見よう

 シニア・エンゲージメント・マネージャーのエステルに聞いたところ、どんなときでも笑顔を保つためには、まず状況を冷静に捉えることが大切です。そのためには、以下のような点を冷静に考えます。

・問題の全体像をお互い理解しているのか
・共通の問題を、ただ違う角度から解決しようとしているのか
・問題をこの人物から切り離して考えることができるのか
・敵意の根本的な原因は何か

 確かに、気持ちを切り替えたり、別の角度から考えようと努力すれば、現在の苦痛から自分をすっかり解放することができます。

笑顔はストレスを緩和し、前向きな感情を生みだします。あなたが微笑んでいる時は、うなずく回数が増える傾向にあり、相手は同意の印として受け止めるので、怒りが弱まります。また、あなたのほうでは自信が深まります。

 まずは状況を冷静に把握できれば笑顔を保つことができるし、笑顔を絶やさなければ、必然的に腹を立てずに済むようになるのです。相手がすでに感情的になっていたとしても、あなたはもっと論理的に考え、相手より先回りしやすくなります。

 ただし笑顔の裏で、無関心・無感情であってはいけません。賛成や反対を論じる熱意を常に保ちながら、表面上は前向きな物腰で議論を続けてください。

 一点注意していただきたいのは、笑顔は相手の怒りを助長することもある、という点です。状況にそぐわない、度を越してヘラヘラした笑い方ではなく、相手に好印象を与えるニコッとした笑顔を日ごろから心がけてみましょう。

 おそらく議論に加わっている人たちが、あなたの無理に作った笑顔を見たときは、心から満足しているはずがないことに薄々は気づくでしょう。それでも、事態を収拾しようとする努力が伝わることこそが、あなたにとっても仲間にとっても本当に大事なことなのです。厳しくて感じの悪い、それどころか人を寄せ付けないような表情よりはずっとマシだし、よい結果をうむはずです。

 当たり前のようだけど、とても大切なことです。今日も1日、笑顔を忘れずに!