7月22日、東京証券取引所における金融派生商品の取引システムに障害が発生した。

 東証から金融機関など一部の取引参加者に対して売買情報が配信できず、東証は約半日のあいだ、取引を停止した。

 原因は、約2万の登録銘柄があるにもかかわらず、約89銘柄しか配信できない設定にしていたこと。事前に実施したテストでもこれを見落としており、明らかな人為的ミスだった。

 東証のシステムは大きく分けて、株・債券の売買と、派生商品の売買の二つのシステムがある。現在、共に開発・保守を請け負っているのは富士通だ。

 じつは、こうした証券取引システムを開発しているのは、国内では日立製作所と富士通だけ。来年後半に導入を予定している次世代取引システムも富士通に委託しており、すでに開発が進んでいる。

 今回障害が起こった派生商品の売買システムは、過去約10年間は日立製だった。しかし、関係者によれば、日立製のシステムで障害が複数回発生したことなどから、今年1月に富士通製に切り替えたばかりだった。

 だが、導入した翌2月には、1銘柄のみ取引ができないという障害が発生。半年で2回ものシステム障害で、東証にとっては頭の痛い問題だろう。

 とはいえ、東証の取りうる選択肢は少ない。海外のシステム会社に委託するという手もあるが、日本特有の取引制度に合ったシステムを外国企業が開発するのは、容易なことではない。

 であれば、担当常務が富士通に対して賠償請求を検討と発言しているものの、現時点では富士通との協力体制を再構築していくことが最優先となる。

 同時に、自前でシステム人員を育成する必要があるだろう。東証には、自らトラブルを早期に発見、対応できる体制を確立することが望まれる。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 池田光史)