「小さな約束」を守ってもらえたら、
喜びも何倍にもなる

 私が、はじめて書いた本『100%好かれる1%の習慣』(ダイヤモンド社)と、はじめて対面したのは、大田区にあるお寿司屋さんでした。

 80歳を超えたご主人が腕をふるう、居心地のいいお店です(私がこのお店に入ったのは、そのときが最初です)。

 私は、そのお店で、できあがったばかりの本を、担当編集者さんから、直接、受け取りました。

 嬉しさあまって、お店のご主人にまで「この本、私が書いたんです! 来週、発売です!子どものようにかわいいです!」と「親バカ」っぷりを発揮すると(笑)、ご主人は初対面の私に「凄いね~!よかったね!絶対買うからね!」と「共歓(きょうかん)」してくださいました

 次に、お店を再訪したのは、それから1年近くたってからだと思います。

なんと、ご主人は私のことを覚えておいでで、しかも、約束どおり、「ほら、本、買ったよ!」と、私の本を見せてくださいました。

 近くの書店には売っていなかったので、わざわざ取り寄せてくださったそうです。

 社交辞令で終わらせず、1年前の口約束をしっかり守ってくださったご主人の気持ちが嬉しくて、私はご主人のファンになりました。

 今では私の「行きつけのお店」です。

 自分も忘れているほど「小さな約束」でも、相手が覚えていてくれると、それだけで嬉しいものです。

「今度、調べておきますね」
「機会があったら、ご紹介させていただきますね」
「またお電話しますね!」
「ぜひ一度、食事に行きましょう」

こうした「小さくて、些細な約束」を社交辞令で済ますのか、きちんと約束を果たすのか…、そこに、その人の人柄が透けて見えるような気がします。

 たとえ相手が忘れていても、こちらが忘れていいということはありません。

相手も覚えていないような「小さな約束を守る」ことが「大きな信頼」につながるのだと私は思います。

 約束した以上は、どんな約束でも、必ず守る。

 とは言え、「小さな約束」を守ることは、想像以上に大変なことです。私も、失敗することは、たびたびあります。

 だからこそ、自分の口から発した言葉には、責任を持てるようになりたいですね。