実利を重んじそうな
アメリカ人がなぜ瞑想?

アップル創業者のスティーブ・ジョブズが、瞑想の実践者だったことはあまりに有名ですよね。
また、グーグルのような巨大企業でもSIY(Search Inside Yourself)というマインドフルネス研修が、社内の仕組みとして取り入れられ、その効果が実証されつつあります。
そのほか、フェイスブック、シスコ(ネットワーク機器最大手)、パタゴニア(アウトドアウェア製造・販売)、エトナ(医療保険大手)といった有名企業でも導入が進んでいます。

さらに、マーク・ベニオフ(セールスフォース・ドットコム会長兼CEO)、ジェフ・ウェイナー(リンクトインCEO)、ジョン・マッキー(ホールフーズ共同CEO)、エヴァン・ウィリアムズ(ツイッターなどの創業者)、マーク・ベルトリーニ(エトナ会長兼CEO)など、エグゼクティブや起業家にも、瞑想の実践者は少なくありません。

何よりも実利を重視しそうなアメリカ人、しかも、本当に役立つものにしか手を出さないはずのエリートたちが、なぜマインドフルネスを実践しはじめているのか?

その理由は簡単です。彼らは「脳の休息」の大切さをわかっていて、同時に、マインドフルネスこそが「最高の休息法」だと知っているからです。

アカデミズム領域でも、マインドフルネスの脳科学的な裏づけは進んでいます。

たとえば、イェール大学医学部の精神神経学科にいた私と同門の研究者ジャドソン・ブリューアー(現・マサチューセッツ大学准教授)は、「DMN(脳エネルギーの浪費家)の主要部位の活動は、瞑想によって抑制できる」と報告しています。

つまり、瞑想こそが「科学的に正しい脳の休ませ方」だと言えるエビデンスが、次々に集まりはじめているのです。

本当の休息は「単なる充電」ではない

そこで、「脳の休息法としてのマインドフルネス」について、脳科学的な知見も交えながらお伝えさせていただいたのが『世界のエリートがやっている最高の休息法』です。

じつはこの本では、物語形式を取り入れています。舞台は、私も学んだイェール大学の医学部。マインドフルネスが脳科学の最前線とどのように触れ合っているのかを、リアルな奥行きとともに感じ取っていただけることと思います。
登場人物はすべて架空の人物ですが、引用している研究成果はすべて現実のものです。巻末にはけっこうな量の参考研究リストが付いています。

なぜこのようなストーリー形式をとったのか? もちろん理由があります。