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PS3の反転攻勢が始まる!?
4年越しの年末商戦に賭けるソニー

石島照代 [ジャーナリスト]
【第6回】 2010年10月22日
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 また、年末商戦の大本命と目されている「モンハン」シリーズの最新作、カプコンの 「モンスターハンターポータブル 3rd」も、12月1日に発売を控えていることもあり、 流通サイドの期待も高まっている。前作は国内だけで400万本以上の大ヒット作となっただけに、どこまで売上を伸ばすか注目だ。

 セガやカプコンなど、サードパーティーとよばれるソフトメーカーの売上の一部は、ハードメーカーにロイヤリティーなどで入るため、ソニーにとってもサードパーティーの売上は重要だ。特に、PS3とPSPが車の両輪のような関係で相互に補完しあっているプレイステーションビジネスにおいては、PSPビジネスの成功は欠かせない。

PS3ビジネス、ととのいました<その1>
「トルネ(torne)」のヒットに見る、
「将来のブルーレイよりも、とりあえず地デジチューナー」

 このように、PSPを中心としたソニーの家庭用ゲームビジネスの環境が良くなってきている。そこで、ここからはPS3を中心としたビジネス環境を見ていこう。

 2000年に3万9800円で発売されたPS2が、全世界で1億4600万台以上売れた理由のひとつに、発売当時、高価だったDVD再生機能を安価で搭載していたことがある。つまり、「PS2をDVD再生機としても使って欲しい」というメッセージが、ゲームユーザー以外にも支持された結果、ヒットにつながったわけだ。

 このPS2での成功例を踏襲した結果、PS3にはブルーレイ再生機能が搭載されているのだが、ブルーレイ自体の認知が進まないこともあって、この機能はあまり支持されていない印象がある。

PS3用地上デジタルレコーダーキット「トルネ(torne)」は大ヒット。

 その印象を持つ理由の一つとして、今年3月に発売されたPS3用地デジタルレコーダーキット「トルネ(torne)」(地デジチューナーと視聴・録画アプリケーションのセット)のヒットが挙げられる。トルネはPS3を持っていれば1万円以下で地デジレコーダーが手に入るとあって42万台を売上げ、今なお売れ続けているヒット商品となった。2009年のブルーレイレコーダーの国内出荷台数は302万台に留まっていることからも分かるとおり、「将来のブルーレイより、とりあえず地デジ」という、世間のニーズが読み取れる。

 なぜ、地デジ対策として、トルネが選ばれているのか。コンテンツ産業研究が専門で、トルネ愛用者でもある、芝浦工業大システム理工学部の小山友介准教授は次のように語る。

 「トルネは本当に傑作だと思います。インターフェイスが使いやすいし、なにより家電によくある操作の“モッサリ感”が無いのがいいです。自分もトルネを買ってからPS3を起動する頻度が格段に増えました。起動後、自然と『ゲームアーカイブス』(昔のゲームを格安で購入できるサービス)で、何のゲームが出ているのか見てみよう…と、行動がつながるんですよね。任天堂がWiiチャンネルで狙った、『とにかくユーザーに電源を入れさせる』と言う部分を高度にかつスマートにやり遂げた感じがします」。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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