大好評の本連載。第1回目では、2人に1人が罹る事態に保険が成立する謎に迫りました。今回は価格の謎に迫ります。『がん保険を疑え!』の著者・後田亨氏が、具体的にがん保険と終身保険を徹底比較します。

がん保険を
三大疾病終身保険と比較してみる

「きっと巨額の宣伝費を回収してあり余るくらい、高い価格設定になっているに違いない」

「がん保険」の保険料について、私はずっと疑問を持ち続けています。ただ、保険料に含まれる「会社の取り分」などを開示している保険会社はないので、具体的に、儲け過ぎではないか?と問いただす方法はありません。

 銀行の窓口で販売されている「変額年金保険」では、お客様が負担する保険料に対してかかる販売手数料などのパーセンテージが開示されていることを思うと、不可解なことです。

 それでも、「がん保険」の価格設定についてその妥当性を疑う方法はあります。

 2人に1人の割合で保険金支払いが発生しそうな「がん保険」の保険料を、2人に2人の割合で保険金が支払われる保険、つまり、一生涯の死亡保障がある「終身保険」の保険料と比べてみるのです。

 具体的には、売れ筋の「がん保険」と、同じ会社で販売されている「三大疾病終身保険」を比べます。素朴に後者の方が倍近い保険料になっていてもおかしくない気がするからです。ところが実に意外な結果になりました。

 比較のために取り上げる「がん保険」の保障内容は次の3点です。

①診断時に一時金として200万円 
②入院時に日額2万円
③通院1日につき2万円

「がん保険」の保障は一生涯続きます。保険料は一生涯に渡って払い込む「終身払い」ですが、「三大疾病終身保険」と60歳までの保険料の額面が近くなり、対照がわかりやすいことから、40歳の女性が、60歳以降保険料の支払いが半額になる「がん保険」に加入することにして試算します。