みんなが右を向くなら、あえて左を向いてみる。それが人とは違う斬新な企画を考えるポイント。でも登場の仕方に失敗すると、せっかくの企画も台無しに……。「登場感」と「第ゼロ印象」、こうした最初の印象を上手につくることは、プロデュースや企画を手がける人以外も使える重要なテクニックなのです。

右向け左

 自分で言うのもなんですが、僕は子どもの頃からずっと「あまのじゃく」体質。

 みんながわぁーっと何かに夢中になっていると、他のことがしたくなってくる。みんなが右を向いているときこそ、左を向きたくなってしまうのです。

 大人になって仕事をするようになってからも、というか今でもそれは同じで、「他の人がやらなかったことしかやらない」と思っているのです。

 かつてテレビ番組の企画をしていたとき、「カメラを振る」ロケ番組が全盛の時代に、僕はあえて「カメラを固定したい」と言い出しました。

 当時、ほとんど誰もやっていなかったことですから、まわりのスタッフは驚き、「大丈夫か」という空気が流れます。

 でも僕は、「カメラを振る」のが当たり前になっていたからこそ、「カメラを固定する」ことが視聴者には新鮮に映ると考えたのです。

 そのうち、カメラを固定する映像がウケ始め、今度はそれがスタンダードになっていきました。

おちまさと

1965年、東京都生まれ。プロデューサー。1987年「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」の放送 作家オーディションに合格し、番組の総合演出・テリー伊藤氏に師事し放送作家デビュー。「学校へ行こう!」「仕立屋工場」「音楽寅さん」「空飛ぶグータ ン」など数々のヒット番組で企画・演出・プロデュースを手がける。WEBサイトやSNSゲーム、ファンションからマンションまで、さまざまな分野で、企業 ブランディングやコラボ企画のプロデュース、デザインを行うなど、ジャンルを超えて幅広く活躍。雑誌や書籍では数多くの対談でインタビュアーを務める「対 談の名手」として、またブログやツイッターが高いアクセス数を誇る情報キュレーターとしても知られている。著書に『企画の教科書』シリーズ、『初対面の教 科書』『時間の教科書』(以上NHK出版)、『小沢一郎総理(仮)への50の質問』(扶桑社)、『相手に9割しゃべらせる質問術』(PHP新書)などがあ る。
オフィシャルブログ:http://ameblo.jp/ochimasato/
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