『20代に伝えたい50のこと』の著者、秋元祥治さんと、『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の著者であり、近著の『世界に一つだけの勉強法』も話題の坪田信貴さん。15年来の親友同士の対談は、「成功と言う言葉を、最近みかけなくなったですね」という話から、様々な話題へと広がっていきました。今回は対談の最終回です。(構成/森綾 撮影/石郷友仁)(構成/森綾 撮影/石郷友仁)

「成功法」より「成長法」の時代

結果的に成功してしまう人の共通点とは?<br />【秋元祥治×坪田信貴(後編)】<br />

秋元 今回、坪田さんのこの本と、この機会で対談させていただいた、はあちゅうさんの本を続けて読んだのですが、共通していたのは「成功」という言葉が全く出てこないこと。そこに強い印象をもちました。
80~90年代の、いわゆる自己啓発書と言われる書籍には「どう成功するか」が主なテーマとして書いてあったと思うのです。僕の父親が買っていたような雑誌は、どうやったら人生を成功できるか、というのがいつもメインの特集でした。

坪田 そうですね。「成功哲学」という言葉がありましたよね。。

秋元 でも、今や「成功」が主たるテーマではないのかもしれないですね。幸せというものが何なのかを自分で決めて、選んでいく。坪田さんのこの本を拝見していて思ったのが、これは「成長法」だと思ったのです。結局みんな「勉強法」というと答えを知りたいじゃないですか。みんな答えが知りたいんだけれども、実は答えはないんですよ、と。「自分で考えて試行錯誤して作っていくということが大事で、そうでない限り、望むような人生にならないよ」ということをおっしゃっているのですよね。

坪田 「自分で考えて試行錯誤して作っていかないと、望むような人生にはならない」。実はもうそれは心理学からデータも出ています。それは、「試行錯誤学習」というのですが。 目指す答えがあって、それに対して何かをやっていくというのではなく、試行錯誤していくと最終的な成長率がぐんと高くなるのです。
秋元さんも感じられた通り、成功という言葉が最近なくなってきたのは、時代背景だと思うんですよ。例えばバブルの時代を子どもながらにも経験していたかしていないのかは、とても大きいと思っています。

秋元 大きいですね。

坪田 昔のバブルを経験してる人達は、みんな、ここを頑張れば後々成功する、楽になるみたいな感じをもっている。でもバブル以降の人たちは、生まれてからずっと不況なので、頑張ったってどうせ無理、というふうになっちゃう。それよりもいかに今よりも低くならないようにしようかを考えるようなところがあります。だから逆に安定して見えるということだとも思うのですが。
僕が思うには、「安定」というより、どちらかというと正確には「これ以上落ちないように」と、腰を引けたパンチを打ち続ける人生なのかと。だからみんな辛いから「幸せってなんだろう」と、その答えを見つけようとするという。落ちないための一本の命綱みたいなのを得ようとしているように思うのです。
でも本当はたぶんそうじゃないよなと、秋元さんは書いています。誰でもできそうだけれどやらない、ものすごい体験をされている。ここはあえて、この対談では語りませんが(笑)、ぜひ本を読んでいただきたい。