欧米のビジネスパーソンの間では、20年ほど前から、マインドマップをかきながらの打合わせ・会議が普通の風景になっているという。そして過去10年で日本をはじめアジア各国、アラブ諸国にもマインドマッパーが広がっている。マインドマップの特長と、ビジネスのどんな場面で役立つのかを、最新刊『ザ・マインドマップ[ビジネス編]』から紹介する。

「情報の時代」は終わった

 2006年から2009年にかけて、筆者は世界各地で開催するマインドマップ・セミナー中にこんな質問を投げかけた。「今は何の時代だと思いますか?」

 聴衆はほぼ例外なく「情報の時代」か「テクノロジーの時代」、あるいはその両方と答えた。しかし、これは間違っている。今は情報の時代だと思い込んだまま現代を生きることは、陸に上がった魚が、まだ海の中にいると思い込んでいるようなものだ。

 ビル・ゲイツなど、先見の明がある少数の思考家は「情報の時代」が終わったことを認識している。情報自体は「万能薬」や解決策ではなく、混乱とストレスを招く情報の津波を引き起こしたことを知っているからだ。今、私たちが生きているのは「情報の時代」から生まれた「知性の時代」である。

 この時代に、仕事のやり方と経営手法を改善して成果を上げるには、莫大な量の情報を意味あるものに変える、つまり知性を働かせて情報を処理する必要がある。そのためには、脳をうまく使う方法(記憶法や創造的に考える方法)を心得ておくことが肝心だ。そして、マインドマップはそのためのツールになる。