Gランクは私学人気のバロメーター
最後に、私学人気のバロメーターでもあるGランクの入試について、男女一緒に見ておこう。1学期の緊急事態宣言下で露呈した公立と私立の対応力の差を見た保護者は、学力不足であっても私学志向を強めた側面があるはずだ。その受け皿となるこのランクが好調というところに、経済的な苦境にもかかわらず首都圏の受験人口がほぼ前年並みとなった理由の一つがありそうだ。
このランクの女子校はいずれも実倍率を見ると実に入りやすい。安全校としてうってつけの存在である。大きく伸ばしそうなのが実践女子学園で、聖セシリア女子がこれに次ぐ。他の女子校はおおむね前年並みか微減程度である。
共学校では、日本大学第一の実倍率3.7倍の女子の人気がさらに高まりそうだ。予想倍率の低下が見込まれた日本大学第三の女子は増加傾向に転じているし、男子も維持している。私学人気を体現しているかのような淑徳巣鴨も女子は大きく増加傾向で、男女共に実倍率は3倍台後半になりそうな勢いである。
昨年の実出願者数が少ないにせよ、倍増の勢いを見せている宝仙学園は不思議な学校である。女子高校とは別に共学の中高一貫校として宝仙学園理数インターがあるが、ここは全国的にも見ても多種多様な入試を揃えていることでユニークな存在である。実倍率を見ても分かるようにほぼ全入状態であるにもかかわらず1学年200人規模を維持し、それなりの進学実績をはじき出している点で傑出した「入りやすくてお得な学校」といえる。今年は多くの入試が大きく出願者数を伸ばしそうだが、それでも入りやすいという最後の頼みの綱のような立ち位置にある。
最後に、これまで触れてこなかったが、今年勢いのある学校を見ておこう。共学校では、駒込が男女共にすべての入試で出願者を大きく伸ばす勢いにある。とはいえ、実倍率はおおむね1倍台前半なので受けやすい。すでに前年実績を大きく上回り倍増の勢いを見せているのが2日の2回だ。
多摩大学目黒もほぼすべての入試で出願者数を増やす勢いである。人気の併願校であり、3日午後の特進・特待3回は同校で一番多くの受験生を集めている。青稜と同じく面倒見のいい学校だ。
佼成学園は1日の一般一回で志願者数が前年を超えそうな勢いとなっている。1日や2日の午後入試は実倍率が11倍を超えるほどの人気である。中学は男子校の明法も1日と2日の午前と午後の入試が、現時点ではすべて前年を上回る勢いで好調である。特に1日は実倍率が午前1.2倍、午後1.3倍と実に入りやすい。
2月2日公開予定の次回連載では、2日からでも出願可能な入試を特集する予定だ。皆さんのご健闘を祈念いたしております。