西高東低と一般入試回避の流れ
2021年大学入試では、例年見られないようないくつかの動きが顕在化している。19年・20年と次ページ以降に掲載した21年の3年間の「国公立100大学合格力」全国ランキングを比較すると、その変化の度合いが感じられるかもしれない。21年のランキングでは、最近目にしたことがないほど“下克上”が起きている。
ベスト10では、20年に2校から4校に倍増した公立校が半減して元に戻り、私立の中高一貫校、中でも男子校が勢いを盛り返している。もう一つ、西高東低の勢いが強まり、首都圏は10位の筑波大学附属駒場(筑駒)のみとなってしまった。7位の札幌南(20年11位・19年18位。以下同)を除けば、残る8校はいずれも関西圏の進学校である。
20年大学入試の受験生は、リーマンショック後で中学受験が低調で公立志向が強まっていた時期の世代である。ベスト10でこそ公立校はその数を減らしたものの、ベスト50で見れば、地方の公立名門校を中心に7割が公立校で占められている。20年よりも公立の比重が高まっているわけで、詳しくは公立校ランキングのときに譲りたい。
今回最大の注目校は、4位に入った奈良の私立中高一貫共学校である。女子受験生にとっては関西圏の最難関校であり、首都圏でいえば渋谷教育学園の2校(幕張・渋谷)のような存在である西大和学園だ。開校から35年、中高一貫の男子校と共学の高校という体制が14年から中高一貫共学校に変わり、優秀な一貫校の女子がさっそくその威力を発揮したといっていい。
国公立志向の強い関西圏では、私立校も公立校も京都大を筆頭とする国立難関校での合格実績を競う。そこに国公立大の医学部もかぶさる。後者については、「国公立医学部合格力ランキング」のときに見てみたい。
また、21年が新しい大学入学共通テストの導入初年だったことや現役志向・地元志向が強まっていること、浪人生が2割も減少してしまったこと、大都市圏の私立大が定員厳格化の縛りにより合格の出し方にためらいが見られたことなど、波乱の要因は多々あった。
早慶上理やMARCHといった有名私立大が多い首都圏では、従来ならば難関国立大を狙っていた層が、20年内に合格を得ようと一般入試を回避し、総合型や学校推薦型の選抜入試に走る傾向も顕著に見られた。当然、国公立大は受験しないわけで、「国公立100大学合格力」ではマイナス要因として働いている。