私学ならではの教育を考える

工藤 日本全国どこへ行っても100円出して5円だって言えば、95円おつりですと言えるようにするのが公立学校の教育の基本です。陸軍で「撃て」「止まれ」が通用しなくては困るからというのが日本の共通語の始まりです。その求められているものの水準が、時代の進化とともに高くなっています。

 それぞれの学校で教育目標の実現が可能な私学は何をしていくべきなのか。坂本龍馬が明治維新を作ったとすれば、これからの新しい日本を切り開く志士、技術の分野だけでなく、諸国民同士も結び付けるために東奔西走できる、そういう若者を作り出すことも大事だろうなと思います。

――そのためにも私学ならではの教育が必要となりますが。

工藤 理系の試験科目となっている数IIIの分野、統計や分析、コンピューターサイエンスと結び付き、一番実学に役立つものを、受験とは別の形で文系理系問わずすべての生徒にきちんと理解させることを今考えています。「探求」や「情報」という教科の中で教えていく。英語を話せる、プログラミングができる。これは読み書きそろばんと同じで、全員ができて当たり前のものです。

――ところで、聖光アカデミアの会というのはどういうものですか。

工藤 卒業生の研究者の集まりで、後援会です。聖光学院医師同窓会というのもあります。

――キャリアを考えるにはいいですね。

工藤 そうです。将来的に人口が少なくなり、市場も小さくなっていきます。少子高齢化社会は負の側面ばかり強調されますが、イスラエルは小さな国でもすごく豊かです。それは、世界でみんなが稼いでいるからです。

 そうした子どもたちを育てていかないと、この国の将来はないと思います。それを本当に考えてやれるのは教育だし、私学だと思います。

 教育ってなかなか変わらないものです。部活などはその良い例です。スポーツはレジャーだから海外の学校では楽しくソフトボールをやったりして遊ぶものですが、日本の場合は教育の一環と考えられている。一意専心に取り組むだけが部活の良さではありませんから。

※第2回に続く