自分のペースでの取り組みを重視

――桜蔭生はしっかりした子が多いという印象を受けます。

齊藤 しっかり自己管理できる生徒になってもらいたいと考えています。中1と中2は6年間の基礎をつくる時期ですから、生徒が勉強とクラブや委員会活動を両立できるように特に気をつけて支援しています。

 新年度の持ち物の説明で、スケジュールを書き込める手帳に提出物の期限とか時間の変更とか自分で管理してもらうように伝えています。きちんとできる人が多くて、感心します。きちんと自己管理できるお友だちから刺激を受けて、成長していくようです。

――2020年は新型コロナ禍でどの学校も大変でしたが、本校ではいかがでしたか。

齋藤 オンラインで時間割通りやるということは、生徒にとっては過酷なことです。休み時間15分で入れ替えて、1日6時間もやるようなことはありえないということで、休校期間中は教科ごとに1週間単位で課題を出すことにしました。6月の最初からは分散登校になりました。

 学年にもよりますが、本校の生徒はある程度大人なので、自分のペースでやってもらう方が絶対に効果があると確信していました。

 オンラインでの対面は、ホームルームや生徒の健康観察、個人面談などに利用しましたが、双方向での同時授業はやりませんでした。(新型コロナ禍がひどくなって)次の段階に双方向でやるようなことになっても、1日6時間は難しいかなと思っています。1コマの時間を長くして3科目くらいの特別時間割を組んでやっていく方が効果的かなと考えています。現在は教員がそのための準備を始めているところです。

 授業の前後、予習と復習で全体の6割前後を充てる科目も多いと思うので、その時間を自分たちできっちりとやっていくことが大切ですし、そういったことができる生徒だと思っています。

――海外大学への直接進学なども出てきているようですね。

齊藤 2人がカナダとイギリスの大学を希望しています。

――帰国子女も多いのですか。

齊藤 別枠で募集していませんので一緒に試験を受けていただきます。帰国生は多いと思います。インターナショナルスクールからも入っています。「本校は制服のある学校なんですよ」と説明会で申し上げても、「大丈夫です」と。

――おカネがないというお話が冒頭で出ました。大学の系列校でなければ、女子の進学校は総じておカネに苦労されていると思います。

齊藤 そうですね。保護者の方にはご負担をおかけしないように授業料は標準的にしております。海外に修学旅行ということもありません。

――男子校ですと、経営者になった卒業生が法人名義で寄付をしてきたりしますが。

齊藤 今後、東館の建て替えに伴う寄付については、どなたにもご負担にならない程度にお願いしようと思います。

――まだ実業家はあまり出ていらっしゃらない。

齊藤 そうですね。若い方だと起業することもあるようです。

――今後は、起業家の卒業生にも期待ですね(笑)

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