(1)生徒の私物が置かれるホームベース。終業時の清掃などで着用するスモックもこちらにつるされている (2)4階の最上級生ゾーンでは、授業に使わない教室を高3の受験勉強用に開放 (3)百人一首大会も開催される作法室。礼法では生徒1人に1畳ずつ割り当てるため畳は小ぶり (4)調理実習のあとすぐ食べることができるようにと、調理室にも隣接したカフェテリア (5)創立60周年の2020年に一新され、ズボンも取り入れられた制服
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塾いらずの手厚い進学指導体制へ

――21年の進学実績でカトリック校は全般的に良かったように思います。カトリック校は危機に強いという印象も私にはありますが。

萩原 カトリックには、神さまが必ず悪いようにしないという楽観主義があるからでしょうか。

 うちはそれほどICT教育対応が進んでいたわけではないのですが、コロナ禍の20年4月から1日7時間の時間割通りのオンライン授業をやりきりました。タブレットも導入して、iPadを日常的に使用しています。

――受験生も大変でしたでしょう。先ほど生徒の手をできるだけ借りるといったお話がありましたが、どのようなことを。

萩原 学習面の指導をもっと強化したいという思いもあり、生徒の希望を受けて夜の自習室や放課後補習を開設し19時まで勉強できるようにしました。JR中野島駅に向かう生徒が7~8割おり、大人数で移動しますので安心です。学校案内のパンフレットは生徒が作成しています。21年の卒業生からは、失敗例も含めてパワーポイントで報告会を行い、学校への提言ももらいました。4月からさっそくOGのチューターが入っています。

――どのような取り組みをしているのですか。

萩原 これは副校長の頃から感じていたのですが、学校のことがあまり保護者に伝わっていないのではと思い、5年前からFacebookを利用して、ほぼ毎日学校の話題を提供しています。

――確かに中高生になると、家で学校の話はあまりしませんよね。

萩原 毎日1000人以上が読んでくれているようで、100以上の「いいね!」も付きます。

 学習面では、成績不振の下位層には指名補習もしていました。中学生には宿題をしっかりやってもらうとして、高校生には中上位層を意識した、受験に特化した講座を20年秋から始めました。総合型や学校推薦型選抜への対応として、志望理由書や面接対策講座も設置し指導を担任だけでなく、学校として行うようにしました。

――塾いらずの放課後講習ですね。

萩原 現在、26の講座を開講しています。共通テストなど入試問題演習や英語リスニング対策なども行っています。

 本校は週5日制ですが、土曜日には講座を希望者に実施しています。これはもう10年ほど続いていますが、英検や仏検、数検などへの対策や、国語読解力、英語ディベート力を鍛える講座を学年の壁を取り払って行っています。中には中1と高1が席を並べることもあり、互いに緊張感をもって学んでいます。

――女子校の保護者も進学実績には敏感ですからね。併願先はどちらが多いのでしょうか。

萩原 多摩川を挟んだ世田谷区にある田園調布学園や恵泉女学園が多いようです。これからもっと頑張っていきたいと思います。

(1)(2)正門前の広場は、修道会創立者の名前を取って「プラース・デュービル(デュービル広場)」と呼ばれる。真ん中に学校のシンボルとなっているカツラの木があり、甘い香りのするハート形の落ち葉は受験生のお守りに (3)(4)学園の歴史を展示するスペース。現在学園に残るシスターは2人のみとなり、世代交代が進んでいる
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