たった1人の欠員が損益に響く
「退職させない」企業努力は必須

 私は15年以上事業責任者の立場で仕事をしています。当然のことながら、人員計画の大切さを理解し、人員計画の予実のズレが事業に大きなインパクトを与えることを、身をもって経験しています。

 事業責任者の方でなくても、職場で何らかの理由で欠員が出れば、その分、働き手が減るわけですから、様々な皺寄せが自分に来たなどの影響を感じたことがあるでしょう。従事されている業務が労働集約型の場合、その影響は非常に大きいと思います。さらに、長年PL(損益計算書)を管理し、利益にコミットする仕事をしていますので、1名の欠員がPLに与える影響を考えるとゾッとしてしまいます。

 さて、その損失を具体的な数字で表してみましょう。

 仮に退職した社員の年収を480万円とします。

・労働配分率を50%とすると、年間960万円の付加価値減(480÷50%)
*利益率を30%とすると、3200万円の売上減(960÷30%)

・採用時の人材紹介手数料を30%とすると、144万円(480×30%)

 単純計算で、1104万円(960+144万円)の損失が計算できます。

 この数字とは別に、入社時の面接コスト、入退社時の調整コスト、育成に関するコストなどを含めると、さらに大きなものになります。また、これらのコストを補填するための売上を逆算するとかなりの額になります。