
辻広雅文
第102回
規制が強い閉鎖的経済は、市場の内側にいる既得権者と外にいる弱者を隔て、格差を広げる。日本がその典型であり、有効な改革は非正規雇用の規制ではなく、正社員の既得権を剥ぐことだと大竹教授は語る。

第101回
市場経済への批判がやまない。なぜ、日本人は市場競争に対する拒否反応が強いのだろうか。『競争と公平感――市場経済の本当のメリット』の著者である大竹文雄・大阪大学教授に、上下二回にわたって聞く。

第100回
菅財務相がにわかに増税論者に転向し、「税収増を経済成長に結びつける」と意気込んでいる。第二のケインズ革命を起こすと宣言するほどの入れ込みようだ。だが、その考え方は極めて危うい。

第99回
故後藤田正晴氏は著書で、「政治主導の意志決定システム」の構築に走る小泉改革の危うさを説いた。戦後二十数人の首相に接した経験から、「優れた方もいたが、そうでない方も少なくなかった。総理大臣の権限強化は避けたほうが安全だ」と警告したのだった。

第98回
新興国におけるインフラビジネスが巨額化し、主要国は官民がタッグを組んで群がっている。日本政府も、にわかに目覚めつつある。だが、そこには腑に落ちない点が二つある。

第97回
再び、就職氷河期が到来している。深刻な問題は、この社会人のスタート時点でついた格差が、その後の人生において克服するチャンスが非常に少ないために、そのまま確定しかねないことにある。

第96回
不測の事態が企業に生じたとき、事態収拾に客観的判断を下すべきは取締役会だ。だが、富士通とトヨタの事例を検証すると、日本企業の経営側が第三者立場に立った監督機能など欲していないという現実をまざまざと思い知らされる。

第95回
政治資金規正法違反で告発されていた小沢一郎・民主党幹事長が嫌疑不十分で、不起訴となった。だが、ロッキード事件などを担当した元検事の堀田力氏は、検察の小沢案件はこれで終わりではないと見る。

第94回
金融センターの地位を落としかねない危うい道にもかかわらず、オバマ政権が金融規制強化案を打ち出した。池尾・慶応大教授は、ワシントンとウォ―ル街の“政金複合体”を潰さねば、経済社会の健全性を取り戻せないと判断したのではないかと読む。

第93回
国鉄での高木氏の挫折、日本郵政での生田氏の退場、日航での伊藤氏の失策――3人の財界人が各々に披瀝するエピソードは、稲盛氏の日航CEO就任に暗い影を落とし、なにより財界との没交渉を選んだ民主党政権の欠陥を浮かび上がらせる。

第92回
民主党政権の予算編成作業が迷走している。看板政策の目的はあいまいでバラマキの色彩濃く、財政危機は深まるばかりだ。このままでは、日本国債の格付けは低下し、借金は1000兆円を超えると井堀・東大教授は警告する。

第91回
未曽有の危機に際して得た教訓を、為政者たちはかくも早く忘れてしまうのか。「デフレ宣言」を受けて、彼らは公然と追加金融緩和措置を要求した。追い込められた日銀は、金融緩和強化策を発表した。デジャヴュである。

第90回
経済は回復に向かうと各国政府が認識を示し始めたなかで、ドバイ・ショックが起きた。「ブラック・スワンはまだ隠れていたのか」とベストセラーのタイトルを引用し、投資銀行幹部は言った。米国発金融危機再燃の可能性はむしろ高まっている。

第89回
経済が停滞し、閉塞感が強まる今、鳩山政権の役割は経済成長という幻想を振りまくことではない。苛烈な利害調整を引き受けることだ。日航問題はそのチャンスであり、根源的解決に立ち戻るなら、先延ばしにしたことも無駄にはならない。

第88回
堕ちるところまで堕ちなければ、改革はできない――。インテリジェンスの高い人々も、少なからず口にする「焼け野原願望」。無責任極まりない民主党による郵政改革大転換は、我々の社会の問題解決能力の低さの象徴なのだろうか。

第87回
一国の経済は実力値を上回る活況を持続することはできない。実力の底上げには、老朽化した日本産業の再編成と資源の再配分が必須だ。だが、日本社会は長期的構造改革にいつまでも取り組まないと池田氏は危機感を募らせる。

第86回
「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」。『鏡の国のアリス』に登場する「赤の女王」のこの台詞は、日本経済にも当てはまる。全力で構造改革に取り組まなければ、1%弱の潜在成長率も維持できない。

第85回
金融危機再発の火種を依然抱える世界経済。安定成長へのナローパスに苦しむ各国首脳はG20サミットで金融機関幹部の報酬規制について合意に達した。だが、問題の指摘が本質を突いているからといって、解決策が正しいとは限らない。

第84回
戦後自民党が取った間接補助政策に対して、民主党が今回の選挙で掲げたのは農家戸別補償等の直接補助政策である。それは本来、既得権益維持システムを破壊するものだ。だが、選挙勝利後の民主党には早くも政策の混在が見え始めている。

第83回
歴史的事件のはずなのに、熱狂はない。希望も高まらない。なぜか。民主圧勝の主因が有権者の自民党に対する“懲罰的投票行動”だからだと、小林慶大教授は独自データから分析する。
