
真壁昭夫
韓国統計庁が発表した2月のCPI(消費者物価指数)は、前年同月比で1.1%上昇。現時点の韓国経済のデータを考えると、韓国で緩やかながらもインフレが長引く可能性は排除できません。足元の株価の動向を見ても、韓国経済の先行きに関する不透明感は高まりつつあります。

韓国の文大統領は、わが国を「重要な隣国」と指摘しました。これまで重視してきた反日的な姿勢を弱め、対日関係の修復を目指さなければならないほど、文氏の経済運営は厳しい局面を迎えつつあるようです。その裏から垣間見えるのは、日本以上に深刻な韓国の人口問題でした。

日経平均株価が3万円台に乗りました。1990年8月以来、約30年ぶりのことです。昨年(2020年)11月にコロナショック前の日経平均株価の水準である2万4000円を回復してから、2月22日の引け値までの上昇率は約25%と、かなり急ピッチの上昇となりました。しかし、その状況が長く続くとはいえません。

昨年秋ごろから、世界経済全体で半導体の需給がひっ迫しています。コロナ禍によって世界経済のDXが加速し、スマートフォンや高性能コンピューター向けの最先端の半導体需要が高まりました。そこに車載半導体の需要回復も加わったのです。TSMCの生産ラインを各国企業が取り合うというべき状況となっていて、今後、日・米・台を軸に、世界の半導体サプライチェーンは変化する可能性があります。

今年2月9日、世界最大の半導体ファウンドリーである台湾のTSMCが、日本に研究所を設立すると発表。このことは、ある意味では、TSMCにとってわが国企業の技術力の重要性が高まっていることを国内外に証明する機会にもなりました。一方同社は、韓国サムスン電子をライバル視して急速に追い上げる姿勢を示しています。

コロナ禍によって世界株式市場の不安定要因が拡大し、韓国など12カ国が「株式の空売り禁止」を制限。多くの国は数カ月後に制限を解除しましたが、韓国は2021年3月まで延長、さらに今月3日、5月2日まで延長することを決めました。なぜ韓国株式市場は株式の空売り禁止を求めるのでしょうか?そこには特殊な事情があったのです。

2021年1月、韓国最大手の自動車メーカー・現代自動車(Hyundai Motor)は、2020年10~12月期と通期の業績を発表した。それによると、10~12月期は韓国などでの販売台数が増加して前年同期比で増益を確保したものの、2020年通期の業績は減益であった。現代自動車はどのように長期存続を目指すのでしょうか?

大統領就任以降、韓国の文在寅大統領は反日的な姿勢を鮮明に示してきた。「元慰安婦問題」や「元徴用工問題」に関して文統領は、司法判断を尊重し、過去の日韓の合意では問題を解決できないとの主張を繰り返した。なぜ、同氏の反日のスタンスが変わり始めたのだろうか?

トランプ大統領は、「分断」を利用して政権を維持してきたともいえる。トランプ氏が大統領選の結果を認めず、あくまでも自分の主張に賛同する人々を糾合して連邦議会が占拠される事態になった。それはまさに、米国社会の分断を象徴する事件だった。「トランプ党」としての色彩を帯びた共和党と、民主党内の左派に配慮しながら、バイデン氏は利害を調整しなければならない。

日本企業は半導体関連の部材分野で世界的なシェアを持つ。しかし、今、世界の半導体産業は急速な構造変化の局面を迎えているのである。構造変化の大きな特徴の一つが、半導体の「設計・開発」と「生産」の分離だ。そのような中、米国が世界の覇権を維持するために重要なポジションにいるのが台湾の半導体ファウンドリー・TSMCである。

新型コロナウイルスの感染再拡大と、変異種ウイルスの発生によって、世界的に経済の停滞感がますます強まっている。実体経済と比較すると、株式などの金融市場の動きはしっかりしている。このような実体経済と金融市場の「乖離」のほか、もう一つ気になる「乖離」がある。この乖離を表したものが2021年の世界経済のキーワードの一つ「K字型」である。詳しく解説しよう。

国際社会における中国への批判が高まっている。日米豪印の4カ国に、英独仏の欧州3カ国も加わり、安全保障面からの対中包囲網は強化されている。国際社会における中国の立場はかなり厳しい状況に置かれることとなった。各国の対中姿勢の厳格化によって特に影響を受けると考えられるのが、経済面で中国を重視してきた文在寅政権下の韓国だ。

世界的にコロナ感染が再拡大し、実体経済が停滞する一方、ワクチンに対する期待拡大で株価が上昇するなど、期待と実態の乖離が鮮明化している。ワクチンへの期待が先行して株価が上昇する「ワクチン相場」の様相を呈している。しかし、感染の再拡大もあり、主要国の実体経済は厳しい。

12月8日、韓国の文在寅大統領が、初めてTPPへの加盟に意欲を示した。それには3つに理由が考えられる。TPPの当初の目的とその後の変遷とともに、解説しよう。

中国が戦略物資などの輸出管理を強化する「輸出管理法」を施行した。コロナショックを境に、中国の輸出シェアは高まった。輸出管理法の施行は、世界経済の円滑な運営を阻害する恐れがある。当然、わが国や、アジア新興国の経済への影響も軽視できない。

米国のバイデン次期大統領は政権の移行に向けて、閣僚人事を発表し始めた。その中で、バイデン政権で外交問題を扱う国務長官にアントニー・ブリンケン氏が起用されることは重要だ。同氏は、中国と北朝鮮に対して厳しい姿勢を持つことで知られる。ブリンケン氏起用によって、中国と韓国を取り巻く環境の厳しさは増すだろう。

11月15日、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、およびアセアン10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)の計15カ国が「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定」に署名した。

米国大統領選挙で民主党のバイデン候補の当選が確実となり、政権の移行に向けた動きが進み始めている。その中で注目を集めるのがバイデン氏の対中国政策だ。基本的には対中国の強硬姿勢は続くとみられるものの、具体的な政策運営は未知数の部分もある。米・中の2大国の関係は、世界の政治・経済、安全保障にも大きな影響を与えることは間違いない。

9月3日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は。190万人の雇用創出を目指す「韓国版ニューディール計画」の一環として「ニューディールファンド」の創設を発表した。文政権は、財政資金から3兆ウォン、政府系金融から4兆ウォン、民間金融機関と国民から13兆ウォンの計20兆ウォン(約1.8兆円)を調達し、2021年からの5年間でバッテリーやインターネット関連産業や環境対策事業などに投資する。基本的に、運用から生じる損失は公的資金で補填される。また、得られた配当は税制優遇される。

今年7~9月期、韓国の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比1.9%増だった。GDPの中身を見ると、輸出がプラス成長を支えた格好だ。コロナショックを境に、韓国経済は輸出依存度を一段と高めているようだ。その状況下、韓国の輸出を支えてきた現代自動車が営業赤字に陥った。
