
真壁昭夫
任天堂の業態転換は経営戦略論のよいケーススタディーといえる。その歴史を振り返ると、(1)経営者が自社の守備範囲を事前に絞らなかったこと、(2)長期の視点に基づいた世界経済の展開への適応、(3)才能の重視――の三つが浮上する。

茨城県つくば市に、世界最大のファウンドリーである台湾TSMCが半導体生産の「後工程」の研究開発拠点を新設する(5月31日発表)。ポイントは、TSMCが、半導体の部材を中心にわが国企業の生産技術をより重視し始めたことだ。

ソニーグループは2021年3月期決算で純利益が初めて1兆円を超えた。復活劇の要因は、「ソニーらしさ」を取り戻したこと。不採算事業を売却する一方、コンテンツビジネスを強化して業態転換を進めた。映画『鬼滅の刃』や音楽ユニット「YOASOBI」はその象徴だ。

「ビットコイン」など仮想通貨の価格が乱高下している。その裏、主要先進国の中央銀行などは、価値が一定の「デジタル通貨」の開発に取り組んでいる。デジタル通貨の実用化によって、ビットコインは投機の手段としての立ち位置がより鮮明になるだろう。

2030年度までにわが国は、2013年度対比で炭素排出量を46%削減する目標にチャレンジする。脱炭素によってわが国の技術が生かされる面はあるものの、わが国企業が脱炭素のコストアップで競争力がそがれ、厳しい状況に追い込まれる懸念も軽視できない。

物流大手の佐川急便が中国製電気自動車(EV)の導入を発表した。世界は脱炭素に向けて急速にEV化を進めているが、日本の自動車産業にとって無視できないマイナス面もありそうだ。自動車が家電の「二の舞い」になる展開は軽視できない。

半導体2大ファウンドリーである台湾積体電路製造(TSMC)と韓国サムスン電子の業績は堅調です。ただ、中長期的には、最先端技術と生産能力の向上に取り組むTSMCとサムスン電子の競争力格差が広がる可能性があります。

「半導体争奪戦」で日本企業が取るべき戦略とは?業界盟主が米インテルから台湾TSMCにシフトする今、高い技術力を誇る日本の半導体装置・部材企業はどのように追随するべきでしょうか。

バイデン政権による“半導体サミット”では、米国がより多くの半導体の確保を急いでいることが明らかになった。日本の半導体企業が競争力を発揮するために、政府は本腰を入れて当該分野の強化をすべきだ。

台湾海峡における中国の軍事的プレゼンスは一段と増し、米国にとっての台湾の地政学リスクが無視できない状況にまで高まっています。そのような中、バイデン政権は米国の自動車と半導体関連企業に加え、台湾TSMCや韓国サムスン電子の幹部と会談し、協力を求めました。世界的に半導体不足が深刻化する中、日本の半導体関連企業にとっては大きなビジネスチャンスが到来しています。

4月5日にモバイル事業からの撤退を発表した韓国のLG電子と、4月1日に社名を「ソニーグループ」へと変更し、次々と新たな技術を生み出しているソニー。2社の決定的な違いは何だったのでしょうか?

中国当局の承認を期限までに得ることができなかったため、アプライド・マテリアルズがKOKUSAI ELECTRICの買収を断念しました。その背景にある中国の思惑とは?そして米中対立の先鋭化は日本にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

米アラスカ州のアンカレッジで開催された米中外交トップ協議では、両国の対立が鮮明でした。「新しい冷戦」とも呼ばれる米中対立は激化の一途をたどっています。両国のはさまで日本が取るべき行動は2つです。

世界経済は「水素を用いたエネルギー革命」というべき、大きな変革の局面を迎えました。重要なことは、世界経済で非連続的な変化が加速していることです。さらなる変化の加速化が見込まれる中、日本企業と政府がすべきことは何か?それに対し韓国企業はどう出るか?また、「水素社会」の実現のために福島県で進められている実証実験とは?

韓国統計庁が発表した2月のCPI(消費者物価指数)は、前年同月比で1.1%上昇。現時点の韓国経済のデータを考えると、韓国で緩やかながらもインフレが長引く可能性は排除できません。足元の株価の動向を見ても、韓国経済の先行きに関する不透明感は高まりつつあります。

韓国の文大統領は、わが国を「重要な隣国」と指摘しました。これまで重視してきた反日的な姿勢を弱め、対日関係の修復を目指さなければならないほど、文氏の経済運営は厳しい局面を迎えつつあるようです。その裏から垣間見えるのは、日本以上に深刻な韓国の人口問題でした。

日経平均株価が3万円台に乗りました。1990年8月以来、約30年ぶりのことです。昨年(2020年)11月にコロナショック前の日経平均株価の水準である2万4000円を回復してから、2月22日の引け値までの上昇率は約25%と、かなり急ピッチの上昇となりました。しかし、その状況が長く続くとはいえません。

昨年秋ごろから、世界経済全体で半導体の需給がひっ迫しています。コロナ禍によって世界経済のDXが加速し、スマートフォンや高性能コンピューター向けの最先端の半導体需要が高まりました。そこに車載半導体の需要回復も加わったのです。TSMCの生産ラインを各国企業が取り合うというべき状況となっていて、今後、日・米・台を軸に、世界の半導体サプライチェーンは変化する可能性があります。

今年2月9日、世界最大の半導体ファウンドリーである台湾のTSMCが、日本に研究所を設立すると発表。このことは、ある意味では、TSMCにとってわが国企業の技術力の重要性が高まっていることを国内外に証明する機会にもなりました。一方同社は、韓国サムスン電子をライバル視して急速に追い上げる姿勢を示しています。

コロナ禍によって世界株式市場の不安定要因が拡大し、韓国など12カ国が「株式の空売り禁止」を制限。多くの国は数カ月後に制限を解除しましたが、韓国は2021年3月まで延長、さらに今月3日、5月2日まで延長することを決めました。なぜ韓国株式市場は株式の空売り禁止を求めるのでしょうか?そこには特殊な事情があったのです。
