井手ゆきえ
第298回
塞栓症リスクが低いピルは?エストロゲン量と黄体ホルモンで違い
女性なら一度は「生理がなかったら楽なのに」とため息をついたことがあるだろう。寝込むほどの痛みや吐き気、気分の大変調を伴う「月経困難症」であればことさら。繁忙期や出張に月経が重なったときの心身の負担は語りつくせない。二日酔いの朝の状態が一日中続き、ひどい腹痛や腰痛を抱えて働き続ける自分を想像して欲しい。それが毎月1週間~10日間は繰り返される。

第297回
孤独リスクも欧米化する?宴会文化が廃れた後は
孤独や社会的な孤立は心身を蝕むが、欧米と日本とでは異なる傾向があるようだ。英国の研究チームは日本人を含む、18歳以上の男女、約18万人を対象とした複数の試験から、孤独や社会的孤立と心血管疾患、脳卒中との関連を解析。

第296回
メタボになりやすい業種は?男性は運送業、女性は医療・介護
日本の勤労者約12万人のデータから「メタボ」になりやすい業種が特定された。調査では、2012年に福島県内で健康診断を受けた会社員の男女、約16万人のデータを収集。ウエスト周囲径、血圧値、血糖値、脂質値、およびメタボ判定結果が判明した約12万人(年齢35~75歳)のデータをもとに、各項目と業種との関係を解析した。

第295回
ADHDに「ゲーム療法」?2製品が臨床試験へ─米国
テレビ(ビデオ)ゲームは子供の発達に悪いという認識は根強い。しかし、米国ではADHD(注意欠陥多動性障害)の症状を改善する「医療用」ゲームの承認を目指す臨床試験が始まっている。

第294回
健康生活の王道は「食」 食事バランスガイドと死亡率
知名度は低いが、日本には国が“推奨”する食事の指針「食事バランスガイド」なるものが存在する。2005年に厚生労働省と農林水産省が策定したもので、「主食(ご飯など)」「副菜(野菜、キノコ類、イモ類など)」「主菜(肉、魚、大豆製品など)」「牛乳・乳製品」「果物」の5グループについて、1日あたりの摂取量とバランスが示されている。

第293回
長期の避難に備えて弾性ストッキングを用意
熊本地震で注目された「エコノミークラス症候群」。車中避難中だった女性の死亡確認に続き、複数の方が病院へ搬送された。エコノミークラス症候群は、狭い空間で長時間同じ姿勢を取ることにより血液の流れが滞る状態。

第292回
眼底検査で何がわかるの?眼疾患、だけではありません
検診でなんとなく受けている「眼底検査」。実は血管の障害を外からじかに確かめられる唯一の検査法だ。眼底は文字通り「眼の底」。透明な組織である角膜の窓から光を当て透かして見ると、底を走る網膜血管や視神系の末端がはっきり見える。

291回
マインドフルネスで腰痛改善 認知行動療法と同じ効果
最近、ビジネスマンの間で話題のマインドフルネス。集中力が高まりパフォーマンス向上が期待できる、らしい。

第290回
歯磨きが心血管疾患を予防?毎食後で発症リスクを軽減
どうやら、お口の健康を守ることは心臓を守ることにもつながるらしい。今年はじめ、「歯磨きと心血管疾患のリスク因子との関係」をテーマにした日本の調査研究が英国医学会誌のオープン・アクセス版に報告された。

今回の熊本地震で、徳洲会系の災害医療支援チーム「TAMT」が現地入りして活躍している。TMATとは何か。今回はどんな活動をしているのか。「熊本地震災害医療本部」がある福岡徳洲会病院に訪ねた。

第289回
がん=生存時代の就労を支援 治療と仕事の両立に指針
今年はじめ全国がん(成人病)センター協議会加盟16施設の治療成績をまとめた「がんの10年生存率」が公表された。全部位、全ステージ(病期)をまるめた生存率は58.8%。大腸がんを例にすると、転移がない早期なら98.8~84.4%、リンパ節転移がある進行がんでも69.6%が10年を乗り切っている。

第288回
睡眠不足でスナック菓子を渇望 大麻並みの快楽で体重増加
睡眠不足がスナック菓子への渇望や過食を誘発することはよく知られている。その背景には、カンナビノイドと呼ばれる神経伝達物質の増加があるようだ。米シカゴ大学の研究から。

第287回
糖尿病患者の降圧目標値は?140mmHg未満が良いらしい
この数年、血圧の管理目標値が緩くなっている。日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2009年版」の降圧目標値は「135/85mmHg未満」だったが、5年後に出た14年版では「140/90mmHg未満」に修正された。

第286回
コーラ1缶で薬の吸収率がアップ?肺がん治療の分子標的薬
コーラ飲料が、肺がん治療に欠かせない抗EGFR抗体薬の薬効を向上させる、かもしれない。オランダの研究から。抗EGFR抗体薬は、がん細胞を増殖させる分子の働きを抑え、進行を食い止める分子標的薬だ。

第285回
先に寝ていて、の一言で妻の2型糖尿病リスクが減少
睡眠が不規則になるシフトワーカーは2型糖尿病発症リスクが高いことが知られているが、睡眠が不規則になると夜勤とは関係ない中高年女性の2型糖尿病発症リスクも上昇するようだ。米ピッツバーグ大学の研究から。

第284回
理由はわからないけれど…先進国では認知症が減少?
認知症が増加している。しかし、米国の疫学研究「フラミンガム心臓研究(FHS)」によると、先進国の認知症罹患率が減少し続けているらしい。

第283回
イチゴとオレンジはEDに効く 「いかにも」サプリより効果的!?
イチゴといえば、乙女チックなアイコンの代表格だが、実は男性の性機能の健康に寄与するらしい──米国の臨床栄養学専門誌に掲載された報告から。野菜や果物に含まれる抗酸化物質「フラボノイド」は健康に良いことが知られる。

第282回
がんの10年生存率を読む 長期戦か短期決戦かで生活設計を
がん診療、研究を実施する国公立病院など32施設が加盟する全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)が28種類のがんの10年生存率を公表した。1999~2002年に診断と治療を受けた約3万5000例のデータで、これだけ大規模な情報公開はわが国では初めて。

第281回
高齢者の服薬適正化にGL 安易な多剤併用に警鐘
時に老親が服用している薬の多さに驚く──「逆に身体に悪くないの?」と。実際、高齢者の緊急入院の3~6%は薬剤が原因といわれ、75歳以上の後期高齢者では15%を超える。背景には、加齢に伴う代謝能力の低下や多剤併用による「思わぬ副作用」の発症がある。

第280回
下剤は脳・心血管疾患リスク!?背景にストレスや運動不足
便秘がちで下剤を使用している人は、脳・心血管疾患リスクが高いようだ。大阪大学医学部公衆衛生学教室の研究から。本研究は1988~90年に、心血管疾患や脳卒中の既往がない日本在住の男女7万2014人(男性2万9668人、女性4万2346人、40~79歳)対象のデータを基にしたもの。
