井手ゆきえ
第317回
どちらか一つじゃだめ?カロリー制限か運動療法か
特定健診の結果で、メタボ中高年は食習慣の改善と運動療法を迫られる。せめてどちらか一つで、と思うのだが。米国の研究によれば、適度な減量ができれば「カロリー制限」と「運動療法」の効果は同じらしい。対象は、肥満やあまり運動をしない“座りっぱなし症候群”の45~65歳の男女52人。

第316回
サルコペニア肥満で糖尿病!?筋肉減でインスリン分泌低下
国民健康・栄養調査(2012年)によると、糖尿病が強く疑われる成人男女は950万人、糖尿病予備群は1100万人に上る。男性の4人に1人、女性の5人に1人が糖尿病かその予備群だ。最近、2型糖尿病の発症リスクとして「サルコペニア肥満」という概念が注目されている。

第315回
揚げ物は控えめに レジリエンスに影響?
ストレス社会の今、レジリエンス──心の弾力・回復力という概念が注目されている。日本ではまだ、明確な定義はないが、大まかに言うと「深刻な状況で一時的に心身の健康が損なわれても、弾力的に回復する力」を指す。

第314回
SEX and The Brain 中高年の性行為と認知機能
若者の恋愛離れ、セックスレスが話題になっている。ただ「日本家族計画協会」の2015年調査によると、セックス経験率が半数を超える年齢は、男性が20歳、女性は19歳。そこまで危機的かどうかは疑問だ。一方、中高年のセックスライフはどうだろう。

第313回
受動喫煙のリスクは「確実」 がん、脳・心疾患、乳幼児突然死症候群
この夏、「たばこ白書(厚生労働省)」が改訂された。喫煙、受動喫煙と疾患との因果関係を「確実」~「無関係の可能性」の4段階で評価した点が特徴。本人の喫煙と疾患との因果関係が証明されている「がん(肺・咽頭・食道など)」は「確実」。これまで「可能性あり」だった「脳卒中」「心筋梗塞」「糖尿病」も、「確実」に危険度が上がった。

第312回
遺伝子検査で再発リスクを評価 抗がん剤治療の回避も――乳がん
早期乳がんでは、術後に抗がん剤治療が行われる。超早期でない限り必要な治療だが、吐き気や極度の疲労感、脱毛など女性にはつらい副作用もあり、できれば避けたいのが本音。近年は遺伝子検査で「再発リスク」を調べ、結果次第で術後の抗がん剤治療を省略する動きもある。

第311回
うつ病治療に行動活性化療法 嫌な気分の時こそ、動く
うつ病の心理療法のファーストチョイスは認知行動療法(CBT)だ。しかし、専門家不足や診療点数の低さから、日本ではなかなか普及しない。こうしたなかで、CBTより簡単な「行動活性化療法(BA)」が、CBTと同等の治療効果をあげるという報告が英エクセター大学から出された。

第310回
子供の砂糖摂取は1日25g以下に 米国心臓協会で厳しい指針
欧米のスーパーで加工食品を買うと「Added Sugars」という表示が目につく。原料本来の糖質のほかに「砂糖が添加されています」という意味だ。この8月、米国心臓協会(AHA)から「1日の添加砂糖は、小児が25g以下、2歳未満は一切控えるべき」という厳しい提言が発表された。

一時期の総自殺者数が毎年3万人超という未曾有の事態からは脱却し、中高年・高齢者層の自殺者は減少に転じた。ところが、10~30代の若年層の自殺者はつい数年前まで増加し続け、現在も高止まりしている。

第309回
標準体重なのに2型糖尿病?BMIが「1」増加しただけで
肥満=2型糖尿病と思われがちだが、BMI(体格指数)22~25(標準~小太り)で高血糖の日本人は少なくない。先日、長野県松本市・相澤病院から「日本人男性は、わずかな体重増加で糖代謝が悪化し、2型糖尿病発症リスクが増加する」との報告があった。

第308回
ダ・ヴィンチvs人の手 前立腺がんの手術で優れているのは?
専門医顔負けの知識量で、まれなタイプの白血病を診断した人工知能が話題になった。日本の医療現場では、ロボティクスはすでに当たり前の風景だ。臨床現場に浸透しているのは手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」だろう。

第307回
脳トレに有酸素運動をプラス 認知機能と記憶力が向上
認知症予防に脳トレを実践している方は多いだろう。さらに有酸素運動をプラスすると脳機能全体の健康に役立つようだ。

第306回
21世紀は腸内細菌叢に注目 慢性疲労症候群にも関連か
人の腸内で共生している100兆~1000兆個の腸内細菌。宿主(人間)の免疫系や代謝調整に一役買っている。近年は腸内細菌の研究が進み、特定の疾患や肥満、2型糖尿病患者に特有の腸内細菌叢(そう)があることが解ってきた。

第305回
自由研究テーマにいかがですか?恐竜も腫瘍を患います
先日、総合科学の専門誌「Scientific Reports」に「恐竜の化石から腫瘍が見つかった」との報告が掲載された。腫瘍に罹患していたとみられる恐竜は「テルマトサウルス・トランスシルヴァニカス」。

第304回
すい臓がんの再発を抑制 飲む抗がん剤で生存率改善へ
すい臓がんは難治がんの代表。自覚症状らしい症状もなく、進行してから偶然発見されるケースが多いためだ。しかも、がん自体の「性質」が悪質で、術後の再発率が高い。

第303回
受験生を抱えるご両親へ 記憶の定着に4時間後の運動
受験生には踏ん張りどころの夏休み。ご両親も落ち着かないだろう。そんなときは家族で身体を動かすといい。先日オランダから、勉強したことをしっかり記憶するには、学習4時間後に運動をするとよいという研究報告があった。

第302回
高血圧にはモーツァルトを 安静に寝ているより効果的
音楽は昔から我々の心身を癒やしてきた。近年は手術前後の痛みを大幅に緩和することが示され、オペ室に音楽が響き渡る病院もある。先日、ドイツ医師会誌に「循環器領域では、どんなジャンルの音楽が効くか?」という研究報告が掲載された。

第301回
食べ放題は幸せなときに 悲しいと食べすぎます
落ち込んだときに「食べ放題」のお店に入るのはやめた方がよいようだ。近年、感情的な食行動のリスクに関する研究報告が増えている。米セント・ボナベンチャー大学の研究者らは、学生ボランティア154人(男性56人、女性98人)を対象に、気分と食行動との関連を調べた。

第300回
「夏の蚊対策国民運動」長袖・長ズボン・虫よけを
夏休みのレジャー計画が楽しい時期。リオ五輪もあり、渡航者の増加が予想される。南米大陸での五輪開催については、蚊が媒介する「ジカウイルス感染症(ジカ熱)」リスクをめぐり、科学者が連名で世界保健機関(WHO)に開催地の移動か、開催延期を求める書簡を送付する騒ぎとなった。しかしブラジル保健相はこれを一蹴。現時点で、五輪の日程・開催地に変更はない。

第299回
ジャガイモに高血圧リスク ノンオイルでも要注意?
ジャガイモは昨今悪役にされがちな「糖質」豊富な食べ物。一方で、生活習慣病を予防する効果が認められた「カリウム」の含有量が高く、健康的か否かの決着がつかずにいた。しかし、米国立衛生研究所の助成による研究で「普通のジャガイモ料理でも、高血圧発症リスクが上昇する」との結果が報告され、注目を集めている。
