
加藤 出
「感染抑制を最優先すべきか? 経済を回すことにもっと注力すべきか?」。これは新型コロナウイルス対策を議論する際に為政者が常に直面する問題である。

人工呼吸器の不足によって世界で多くの人々が亡くなり、医療従事者が不眠不休で献身的な対応をしているときに、金融市場関係者はこの新型コロナウイルス危機後の世界経済の回復経路と、株の買い時を夢中になって議論している。

国際政治アナリストの間で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的感染拡大)への対応を米トランプ政権が誤ると、米国にとっての「スエズ危機」が現実化する恐れがある、との懸念が強まっている。

米ワシントン州シアトルの「ディックス・ドライブイン」は、創業1954年の老舗ハンバーガーチェーン店だ。年に1度、創業時の価格19セントでハンバーガーを販売することでも知られている。知名度が高いこのハンバーガー店が、3月上旬から顧客にカードでの支払いを要請し始めたことは地元で話題になった。

3月12~16日に欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備制度理事会(FRB)、日本銀行が次々と追加の金融緩和策を決定した。ECBと日銀は発動余地がほとんどないところを、乾いた雑巾を絞るようにして、辛うじて幾つかの緩和メニューを示した。

2年前に欧米では次のような議論が活発だった。「利下げ余地がFRB(米連邦準備制度理事会)にはわずかしかなく、ECB(欧州中央銀行)や日本銀行にはほとんどない。この状況でグローバルな景気後退がやって来たら、世界経済は困難に直面する恐れがある」。当時は“先行きの可能性”としての懸念だったが、新型コロナウイルスの登場で突然目前に迫ってきた。FRBは3月3日に0.5%の緊急利下げを決断したが、市場の混乱は続いている。

2月28日に米連邦準備制度理事会(FRB)、3月2日に日本銀行と欧州中央銀行(ECB)が、新型肺炎の影響に適切に対処することを示唆する緊急声明を発表した。

東京のJR中野駅近くにある「中野ブロードウェイ」は、さまざまなジャンルのコレクターが集う「聖地」となっている。筆者が小学生の頃にこの近隣に住んでいたときは普通のショッピングモールだった。ところが、今では漫画やアニメ、アイドル、映画、鉄道、ミニカー、腕時計、切手、コインなどの店が集積する「異空間」と化している。

日本銀行や欧州中央銀行(ECB)、スウェーデン中銀など中銀6行と国際決済銀行は先月、中銀デジタル通貨を研究するグループを設立したと発表した。このテーマは確かに興味深いのだが、われわれは大騒ぎせず、冷静に見ていくべきだろう。というのも、世の中のお金の圧倒的多数は以前からデジタル化されているからである。

「人手不足は深刻なのに、なぜ賃金の平均値はもっと上がらないのだろうか」。こういった疑問を持つ人は多いだろう。7年前に比べれば、アルバイトや派遣社員の時給は顕著に上昇しているし、正社員の初任給も着実に増加している。しかし、賃金水準が最も高い45~54歳の正社員は伸びが非常に小さいか、減少しているケースが多い。その世代は逆に早期退職のプレッシャーすら受けている。これでは全体の賃金の平均値は上がりにくい。

「QEか? 非QEか? それが問題だ」――。米連邦準備制度理事会(FRB)は昨秋以降、市場への資金供給を増加させてきた。米国の多くの株式市場参加者は「これは新たなQE(量的緩和策)だから株の買い材料だ」と信じている。

日本銀行が先日公表した1月の「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」によると、実質国内総生産(GDP)成長率は、政府の経済対策を主因として、小幅だが全般に引き上げられていた。しかし、インフレ率(生鮮食品を除く消費者物価指数前年比)は逆に、2019、20、21年度の全てで0.1ポイントずつ下方修正された。

昨年12月下旬に公開された映画「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」は、評論家や1970年代から見続けている中高年ファンの厳しい批判を浴びている。

ドナルド・トランプ米大統領によるイランのカセム・ソレイマニ司令官殺害と、イランの報復ミサイル攻撃。これを受けて原油価格(ウエスト・テキサス・インターミディエート〈WTI〉先物中心限月)は、一時1バレル=65ドル超に急騰した。その後、両国の衝突激化は回避されそうだとの見方が強まり、1月14日時点の原油価格は司令官殺害前より低い50ドル台後半で推移。原油相場が今年の世界経済を大きく変える恐れは後退した。ただ、気まぐれな米大統領だけに、再衝突の恐れはないか注意が必要だ。

先日、英国に出張した際、同地の銀行が猛烈なスピードで支店を削減しているという話を聞いた。確かに英消費者団体「Which?」の資料によると、2015年初めから19年8月にかけて、全体でなんと3300店舗、33%も減っている。支店数が多い大手行の店舗削減率は特に高く、HSBCは42%減、ナットウェストは47%減、RBSは74%減だ。

2019年秋以降、マイナス金利政策の是非を巡る議論が世界的に活発だ。9月に欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ前総裁は、マイナス金利深掘りなどの追加緩和策を強引に決定した。中央銀行であるドイツ連邦銀行の資料によると、その影響もあって11月時点のドイツでは、企業が保有する預金口座の58%、個人が保有する預金口座の23%にマイナス金利や口座維持管理料が適用されていた。

黒田東彦総裁が率いる日本銀行が、年率2%のインフレ目標を2年程度で達成すると宣言して国債の大規模な購入などの異次元金融緩和策を開始したのは、2013年4月のことだった。それからこの10月までに6年半が経過した。

「気候変動」は経済政策に影響大、音楽ライブもF1も環境配慮へ
英国の世界的人気ロックバンドであるコールドプレイは最近、地球環境への悪影響を相殺できる手段が見つかるまで世界ツアーは実施しないと宣言した。「われわれは1~2年かけて、サステイナブルなだけでなく(環境に)有益となる方法を見つけていく」(英公共放送「BBC」より)。

スキャンダル発覚のLIBOR、なぜ新指標へ移行が進まない?
「人生で必ず起きることは二つといわれている。死と課税だ。しかし私は実際のところそれは三つだと言っている。死と課税とLIBORの終焉である」

金融政策がノーベル賞に悪影響、今年の受賞者が「気の毒」な理由
スウェーデンのストックホルムで12月10日にノーベル賞の授賞式が行われる。同賞の賞金はアルフレッド・ノーベルの遺産の運用を担う財団が提供している。
