稲田将人
第29回
家具小売り業界で、ニトリが大きく成長できたたった1つの要因とは?
競合がひしめき合っていて、一見、レッドオーシャンに見える市場でも、実はお客さんが潜在的に「もっと、こうだったら良いのに」と思っていることがあり、まだ具現化されていないブルーオーシャン状態のニーズが潜んでいることがある。家具小売り業界で、ニトリがこれだけ大きく成長できた要因は、その隠れた顧客のニーズを掘り起こしたからに他ならない。

第28回
成功する事業家たちに共通するロジックを超えたあるものとは?
経営学者が発表し、コンサルタントたちが用いる分析のためのフレームワークの多くは「静的」なもの。それらは現状をうまく整理するためには有効だが、現実のビジネスでは、人や競合企業は「時の流れ」の中で作用しあいながら、かつ、知恵を絞ったイノベーションを起こしながら、ダイナミックに物事が進んでいく。この時間軸の上でその先に起こる作用や出来事は、一般的に「静的」な分析だけで戦略立案を行う戦略系のコンサルタントにはイメージすることができない。

第27回
本田宗一郎も見抜けなかった米国の潜在市場を切り開いた差別化されたある商品とは?
今では事業を大きく成長させた企業の多くは、実は創業当初は全く違うビジネスモデルで船出したところが多々存在する。それらの企業は事業を続けて様々な試行錯誤を重ねるうちに、他の事業拡張の機会を見つけ、そちらに乗り換えて大きな成功を手にしたのである。今や球団まで所有するようになったDeNAも、当初はビッダーズというオークションサイトで船出した会社だ。「成功した戦略」のケーススタディとして取り上げられるホンダの北米戦略もしかりである。

第26回
想定外の事態を乗り越えて、事業を前に進める実践力を高める6つのポイント
「戦略」は、目標となる「頂(いただき)」に向かうためのシナリオにすぎない。シナリオは、どんなに精緻に作り上げたとしても、現実がその通りにことが運ぶことはほぼない。事業を進めるなかで、必ず予期せぬトラブルや難題が必ず付きまとう。だからと言って戦略立案など要らないとの結論は、短絡的すぎ。事前の調査に基づいてプランを作っておけば、二の手、三の手を見出すのに役立つ。現状把握に基づくシナリオ策定、PDCAのPを正しく行っておくと事業の成功確率が上がる。

第25回
事業低迷の原因を探るため真っ先に行うべき3つのこととは?
多くの企業では、ことの深刻さが財務諸表に表面化した時点では、事業のどこに問題があるのかがわからず、手の打ちようがないという状態に陥る。結局、事業が低迷しているのは、打ち手がマーケットと乖離した結果である。

第24回
なぜ、企業は停滞状態に陥りそこからなかなか抜け出せなくなるのか?
あるレベル以上の事業規模に至った会社は、市場における位置取りに成功し、「戦略」的にも成功したと言えます。ところがその後、売上が前年対比で数%前後の実質横ばい状態が続いていたり、売上の微減傾向が長期化し、利益も減益基調で先々には赤字が予想されるような状態の「笹舟」企業は数多くあります。これでは、市場の期待にそった価値の創出ができているとは言えません。なぜ、企業はこうした低迷状態から抜け出せなくなってしまうのでしょうか。

第23回
経営レベルでの「戦略のPDCA」を廻すために、日本企業に必要なものとは?
事業が低迷状態にあり、なかなか抜けることができない時は、間違いなく組織で廻すPDCAの機能不全が起きている。多くの場合、押さえるべき数字や事実を示すべき「計器」となる帳票が、今必要な精度の情報を提供できなくなっていることが原因だ。では、どうしたら、この状態を抜け出すことができるのか?

第22回
戦略とは自分たちの手で作り上げ、自分たちで舵取りや方向修正を行うべきもの
トップは、企業を発展させる当事者として、必要に応じて細かい舵取りさえも行うのが米国式マネジメント。参謀スタッフは、トップの認識との差異を埋めるための修正や追加の分析を繰り返しながら戦略を仕上げる。こうして出来上がった戦略は、トップ自身の口から社内に発信するべきもの。ところが多くの日本企業では、トップはそこまでのコミットをしない。これはトップの意思決定に必要な経営情報の「見える化」が不十分なために、事業や市場の機微を上手く把握できないのが一番の原因だ。

第21回
マネジャーを「決まり事を順守するだけ」の思考停止状態にさせてはいけない
マネジャーの仕事がルールに沿って仕事をこなし、ルールを順守しているかどうかだけを管理し、ルールに沿って人事評価を行うだけならば、すべてのマネジャーをコンピューターに置き換えて無人化してしまったほうがいい。現状のルールの課題や問題点に一番先に気が付くのがマネジャー。そのマネジャーが、自身が責任を持っている部門へのカイゼンを重ねていく状態が、組織のPDCAが定着している企業の特徴といえる。

第20回
パフォーマンスの向上のためにトヨタのマネジャーに必須のある能力とは?
会社の決め事に沿って担当部門内の業務がきちんと行われているのかを見ることは、マネジャーの仕事の基本の一つ。しかし、それがすべてではない。企業として明確にしなければならないのは、マネジャーの自律的な判断力を育てるマネジメント体制が、そもそもできているかという点だ。

第19回
トヨタはERPを導入する際に、なぜ、原形をとどめないまでに徹底的にカスタマイズしたのか?
トヨタはマスコミでどのような新技術が取り上げられ、もてはやされても、それに踊らされることはない。新しい技術や機械については、ある程度の導入、利用実績をふまえ、信頼性、品質の安定性が担保される状態になってから導入を行う。何事も自分たちの頭で考えて、自分たちで実験し、自分たちが学んだことで「自信」を積み重ねながら、常に次の状態を目指すという企業文化がある。

第18回
トヨタでは、なぜ、工場のライン稼働率の理想を95%とするのか?
多くの「ものづくり」の現場では、計画に対して稼働率が100%であれば「良かった、上出来」となり、製造管理部門も問題なしと経営側に報告を行う。しかしトヨタの自動車組み立て工場では、もし稼働率が100%になった場合は「おかしい、どこかにムダがある」と考える。それは一体なぜなのか?

第17回
なぜトヨタでは、「指示は不親切なほど良い」と言われるのか?
トヨタには、日々の業務において全社員が「そこにムダはないのか」と常に考え続けている状態が脈々と企業の文化として根付いている。強い事業体=人づくりが企業文化のトヨタでは、「指示は不親切なほど良い」と言われるのはなぜなのか?

第16回
トヨタで実践される「強い事業体=人づくり」というマネジメント
トヨタは長期間、極めて堅調に事業を発展させてきた日本の代表格の企業だ。しかし、最近では次世代の移動手段としてテスラの電気自動車が現れ、グローバル市場で注目を集めている。トヨタが時代の変化に取り残されるのではという危機説がマスコミで唱えらたりもした。カイゼンに代表されるトヨタのものづくり、企業体としての強みとは何か?

第15回
業務の生産性を高めるために経営トップを含むマネジメント層が真っ先にやるべきこととは?
人は意義を感じることに取り組んでいる時、組織のためになると腹落ちできる時には、幸せホルモンである「オキシトシン」が分泌されると言われる。この状態が最も生産性が高く、何より本人も幸せを感じる状態だ。この意義を感じるための指導を行うのがマネジャーの役目であり、そのプラットフォームを用意するのはマネジメントの重要な仕事である。

第14回
組織にエゴイズムが蔓延しないように、トップが意識して行うべきあることとは?
創業時には、日々どんどんキャッシュが消えていきます。信用力のない起業時には、手元資金がなくなったら一瞬でアウト。よって、起業家たちは皆、常に危機意識を持って日々過ごします。そのためトップの決めたことは絶対であり、指示の通り忠実に動くことが求められます。ただし、このトップダウン式のスタイルが続くと、組織運営の機能不全が進む危険を伴います。

第13回
トップの役割は、PDCAを初めとするビジネスの基本を組織に躾けること
V字回復のための戦略が必要になるような不振状態は、「組織のPDCA」の機能不全が生じて、市場への価値の提供に不具合が出たために起こる。経営レベルの課題や案件のPDCAはトップが自ら廻す。PDCAが健全に廻る組織運営ができているかを常に確認し、問題があればすぐに手を打つ。しかし、現実にはこれができていなくて、事業運営が機能不全に陥っている企業は山ほどある。

第12回
すべての課題や業務においてPDCAを廻し、舵取りを行う責任者が明確になっているか
現場の実態の把握不足が積み重なって、経営は徐々に不健全な状態になっていく。そして、こうした「機能不全」が進行して組織内、特に現場の努力で耐えきれる限界点を超えたところで、一気にPLなどが悪化し表面化してしまうのだ。

第11回
事業価値を向上させられる経営者かどうかを判断する3つのポイント
経営者が日々見慣れているPLに成績表の感覚を抱いてしまうことは理解できるが、これはあくまで1年間のビジネスの動きを、お金に換算して表現しているだけ。本来やるべき事業価値を向上させられる経営者かどうかは、次の3つのポイントでわかる。

第10回
なぜ、経営者はPLを自身の成績表と錯覚してしまうのか?
会社が上場を果たすと、財務諸表が世間に公表され、リターンを期待する株主にとっては、配当を生み出すキャッシュマシーンと化し、事業価値の向上を期待する投資対象となっていく。そして、金融機関は売上や営業利益、税引き後当期純利益など、つまりPLを意識するようになる。銀行が企業のPLを気にするのは、貸し付けた金額が安全に回収できるかどうかが最重要の関心事だからだ。
