時代や環境変化の荒波を乗り越え、永続する強い会社を築くためには、どうすればいいのか? 会社を良くするのも、ダメにするのも、それは経営トップのあり方にかかっている――。
前著『戦略参謀の仕事』で経営トップへの登竜門として参謀役になることを説いた事業再生請負人が、初めて経営トップに向けて書いた骨太の経営論『経営トップの仕事』がダイヤモンド社から発売されました。好評につき発売6日で大増刷が決定! 本連載では、同書の中から抜粋して、そのエッセンスをわかりやすくお届けします。好評連載のバックナンバーはこちらからどうぞ。
ルールを守らせるのが、マネジャーの仕事か?
ある会社の新しい人事評価制度の導入時の、マネジャー向け説明会に同席した時の話です。
人事企画部から一通りの説明があり、現場の責任者たちとの質問のやり取りがあった後、説明を行った担当者は「ルールを守らせるのが、マネジャーの仕事です」とこの場を締めくくりました。
確かに、会社の決め事に沿って担当部門内の業務が行われているのかを見ることは、マネジャーの仕事の基本の一つです。しかし、それがすべてではありません。
すべてのルール、決め事にはその前提の外にある、いわゆる想定外の事態が必ず発生します。
よってルールとして決められたものが、その精度を高めて完成度が高い状態に至るまでには、一般的には、ルール外への対応と、何度ものルールそのものの修正が必要なものです。
長い期間にわたり、その事業における優位性を保つことができている企業は、マネジャーが自律的に判断をする力を培っており、さらに事業のやり方、方法論に常に「カイゼン」を重ねて、決め事、ルール、仕事の仕方を進化させ続けています。