時代や環境変化の荒波を乗り越え、永続する強い会社を築くためには、どうすればいいのか? 会社を良くするのも、ダメにするのも、それは経営トップのあり方にかかっている――。
前著『戦略参謀の仕事』で経営トップへの登竜門として参謀役になることを説いた事業再生請負人が、初めて経営トップに向けて書いた骨太の経営論『経営トップの仕事』がダイヤモンド社から発売されました。好評につき発売6日で大増刷が決定! 本連載では、同書の中から抜粋して、そのエッセンスをわかりやすくお届けします。好評連載のバックナンバーはこちらからどうぞ。

トヨタはERPを導入する際に、<br />なぜ、原形をとどめないまでに<br />徹底的にカスタマイズしたのか?Photo: Adobe Stock

自分たちの頭で考えて、自分たちで実験し、
自分たちが学んだことで自信を積み重ねる

 1980年代には、自動車業界で工場の製造ラインへのロボットの導入が始まり、マスコミは先端事例を見つけては「最先端の技術を取り入れた○○工場」ともてはやしました。

 しかし、当時のトヨタにとっての認識は、ロボットはただの「まだ安定していない新技術」でした。

 トヨタは、マスコミでどのような新技術が取り上げられ、もてはやされても、それに踊らされることはありません。

 産業用ロボットに限らず、新しい技術や機械については、ある程度の導入、利用実績をふまえ、信頼性、品質の安定性が担保される状態になってから導入を行います。

 あくまでも自分たちの頭で考えて、自分たちで実験し、自分たちが学んだことで「自信」を積み重ねながら、常に次の状態を目指します