
宿輪純一
第42回
筆者は通貨(為替)について長年研究してきた中で、いつも気になっていたのは、円高は日本経済・日本企業にとって本当に悪いのか?ということだ。それは「思い込み」の可能性が高いのではないかと考えている。

第41回
先週の日銀金融政策決定会合では、マイナス金利の拡大は実行しないという賢明な判断で、銀行を主とする金融機関のさらなる経営的な危機は回避された。しかし代わりに示されたETF購入という政策に問題はないのだろうか。

第40回
安倍首相がアベノミクスのさらなる強化を進めようとしている。アベノミクスの金看板である金融政策は、マイナス金利にまで至り、もう限界に来ている。これは地銀をはじめ、銀行の経営の悪化をもたらす大変危険な政策だ。

第39回
6月24日、英国では国民投票によって、EU離脱が決まった。主として経済面での理由がいわれているが、筆者は、実は英国の主たる宗教が「英国国教会(Church of England)」であることが主因の一つであると考えている。

第38回
日本の景気が良くならない主因は「将来不安」が強まっているからだ。経済政策の本来の目的は、国民を「前向きな気持ち」にすることだと考えるが、これでは逆だ。アベノミクスには「マジメさ」が足りないのである。

第37回
今年2月、バングラデシュ中央銀行がハッキングされ、国際金融ネットワーク「スイフト(SWIFT)」のアクセスコードなどの情報が盗まれた。犯人はバングラデシュ中銀になりすまし、アメリカの中央銀行FRBに保有する同行の口座から邦貨にして約110億円を強奪した。

第36回
言葉としてのフィンテック(FinTech)は、金融業界やIT業界に浸透してきたが、実用化され、金融機関を凌駕する可能性は高くない。筆者は金融機関の企画部門でも長く働いてきたが、今回は、フィンテックについて整理し、金融機関の「企画書」のようなスタイルで検討してみたい。

第35回
通貨・株式などの金融市場は「経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)」では動かない。実はもっと直接的な「金融市場のファンダメンタルズ」があるのである。外貨、株式などの金融市場の予想、及び実際のディーリング(投資)に役立つ分析手法と考え方の要点を説明しよう。

第34回
中国当局は現在、人民元を「通貨バスケット」を参考に運営している。しかし現場では通貨バスケットを念頭としたディーリングは非常に面倒くさく、結局は対ドルの取引にシフトしていくものである。中国もそうなっていくだろう。

第33回
2017年4月に予定されている消費税引き上げの延期を望む声がある。しかし、それこそ、かえって日本経済をさらに悪化させる可能性が高い。財政の更なる悪化はいうまでもないが、国民の前向きかつ真面目な気持ちを弱めてしまうだろう。

第32回
今回の法的対応により、仮想通貨の利用は拡大する方向ですが、ビットコインなどの仮想通貨には貨幣としないという方針が感じ取れます。それは、そもそも以前より、金融庁は「モノ」としての方針でしたが、マウントゴックスの事件で多数の被害が出たこと、マネーロンダリング対応のために法改正を行ったという状況です。

第31回
銀行や保険などの金融機関は、資金を国債で運用しているところが多いのです。銀行を取り巻く状況としては、預金のうち貸出に回るのが約7割程度で、しかも貸出競争の激化で融資部門では収益が生まれにくくなっています。そのため、収益の多くの部分を20年物を中心とした超長期国債の購入に頼っています。

第30回
邦銀も中国の国際的な人民元決済インフラに参加できるようになりました。日本企業の貿易決済や市場取引の人民元決済は推進され、と同時に、人民元の国際化・基軸通貨化が推進されることになるでしょう。中国が良く使う制度への参加認可は中国当局次第であり、中国の政策推進に有効な手段ということもわかります。

第29回
上海株の時価総額の多くを占めるのは、国営の「銀行」に加え、国営の「石油会社」である。この銀行と石油会社の業績が特に悪化している。

第28回
今回の「マイナス金利」導入は、日本においては景気回復や物価上昇への効果は薄いことが分かります。それならばなぜこのようなショッキングな「マイナス金利」導入を行ったのでしょうか。

第27回
中国は固定的な通貨制度(管理変動相場制)の中で、経済が減速し、固定的な為替レベルと経済の実態レベルにギャップがあるという「アジア通貨危機」と同様の状況になっているのです。しかも、基軸通貨(国際通貨)になる目標のために、資本移動を自由化し、介入もできないという、いうなれば”抵抗力”が低下している状況です。投機筋はそこを狙っているのです。

第26回
フィンテックは「決済スキーム」が主であり「個人の海外決済(送金)」が中心となる可能性が高い。また、「電子マネー」や「企業通貨」の問題、そして「ブロックチェーン技術」の問題は、銀行の業務とは哲学が違う別世界の話となっている。

第25回
とりわけ重要なのは、(1)米国の中央銀行FRBによる今後の利上げ、(2)日本の経済政策の成長戦略への転換、(3)中国の経済悪化の行方、(4)資源価格と新興国経済の低迷、の4つと考えている。この4つの課題を“軸”にして、分かりやすく2016年の世界経済の大きな流れを展望してみたい。

第24回
FRBがすでに量的金融緩和を止め、12月に利上げをすること。この過程をFRBでは「正常化」と呼んでいます。つまりFRBは、ゼロ金利、そしてその先の量的金融緩和を「異常」と考えているのでしょう。

第23回
出口戦略は、まだ発表されていません。しかし、筆者は単純な経済政策の転換ではなく実際に日本経済にとって、そろそろこの量的金融緩和が限界に来ており、実際に出口戦略がスタートしている、と考えています。
