戸田一法
カンボジアのリゾートホテルを拠点にした特殊詐欺グループの日本人19人が現地の警察に拘束され、警視庁は詐欺容疑で逮捕状を取った。いずれも20~50代の男で、有料サイトの未払い料金があると偽り電子マネーをだまし取っていた容疑だ。警視庁は10日、捜査員50人前後を派遣した。11日にも身柄を日本に移送し、逮捕する方針。警視庁など全国の警察はフィリピンの「ルフィ」など特殊詐欺グループが国内の取り締まりから逃れるため海外に拠点を移していたとみて、現地の警察当局と協力して摘発を強化しているもようだ。

警視庁捜査2課は暴力行為法違反(常習的脅迫)や名誉毀損(きそん)、威力業務妨害、強要の疑いで政治家女子48党(旧NHK党)の前参院議員、ガーシー(本名・東谷義和)容疑者(51)=参院を除名=の逮捕状を取った。今後は警察庁を通じて外務省に旅券返納命令を出すよう要請し、国際刑事警察機構(ICPO)に国際手配する方針。昨年7月の当選後、国会を引っかき回すだけ引っかき回し一度も登院しなかったガーシー容疑者。いよいよ逮捕は秒読みに入った。

山口県阿武町が誤って振り込んだ新型コロナウイルス対策の臨時特別給付金4630万円を別の口座に振り替えたとして、電子計算機使用詐欺罪に問われた田口翔被告(24)の判決が28日、山口地裁で言い渡される。昨年12月の公判で検察側は「犯行は大胆で悪質」として懲役4年6月を求刑し、弁護側は「同罪は成立しない」として無罪を主張。日本国内を驚かせたものの、誤給付された全額が阿武町に返金され、実質的に被害者が存在しないこの事件の行方はどうなるのか。小松本卓裁判官の判断が注目される。

文部科学省は全国の教育委員会に対し、悪質な「いじめ」と称される行為について、速やかに警察と連携して対応するよう求める通知を出した。警察に相談や通報をするべき事案として具体的に19事例を挙げ、どの罪名に該当する可能性があるか明示した。実は「大津いじめ自殺事件」をきっかけとして2013年に制定された「いじめ防止対策推進法」は、犯罪が疑われる場合は警察に通報するよう求めている。だが、学校の不適切な対応で児童や生徒が自殺に追い込まれたケースもあり、看過できないと判断したようだ。

今年に入り、回転ずしチェーン店で商品や備品にいたずらする映像がSNSで相次いで出回った。炎上後、謝罪を申し出た投稿者もいたが、事態を重く見た回転ずし店側は受け入れを拒否。刑事・民事での責任追及を表明した。刑事的にはさまざまな罪が考えられ、民事的にも店側の損害が大きく、賠償金も高額になる可能性もある。

全国各地で相次いだ強盗事件で、「ルフィ」などを名乗りフィリピンから指示していたとみられるグループが特殊詐欺で詐取した総額が、60億円を超えることが判明した。警察庁の露木康浩長官が記者会見で明らかにした。警察庁はフィリピン当局に対し、マニラの入管施設に拘束されている4人について特殊詐欺に絡む窃盗容疑で逮捕状を取り、強制送還を要請。

インターネットの動画投稿サイトで著名人を中傷や脅迫したとして、警視庁から暴力行為法違反(常習的脅迫)容疑などで関係先の家宅捜索を受けたNHK党のガーシー(本名・東谷義和)参院議員(51)について、参院の石井準一議院運営委員長は通常国会召集日(1月23日)以降も欠席を続ければ、懲罰委員会にかける可能性を示唆した。ガーシー議員は自身のSNSで「3月上旬に帰国する。警視庁の事情聴取も受ける」と表明しているが、当然に「3月上旬」であれば通常国会初日には間に合わない。懲罰の可能性は濃厚で、帰国後に逮捕許諾の請求があれば参院が反対する理由もなく、厳しい立場に追い込まれそうだ。

今年最も注目された事件と言えば、間違いなく「安倍元首相銃撃事件」だろう。殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(42)は11月29日が鑑定留置の期限だったが、来年1月10日まで延長された。動機について「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と、安倍元首相がつながっていると思い狙った」と供述している山上容疑者。奈良地検は起訴すれば公判で責任能力が焦点になるとして、事件当時の精神状態を慎重に調べている。

今年「安倍元首相銃撃」と並び、社会をあっと言わせた事件と言えば「五輪汚職」だろう。4年に一度開催される「世界最大のスポーツの祭典」で黒い巨額のカネが動いていた事実が発覚。さらに年の瀬になって組織的かつ大規模な談合が行われていた疑惑が浮上し、東京地検特捜部と公正取引委員会の合同捜査・調査は越年する見通しだ。利権にまみれた底なしの闇に「世界に恥をさらした」と国民の目は冷ややかだ。

全国の都道府県警察は1日から、110番通報者がスマートフォンで撮影した動画や画像(以下、映像)を送信してもらう「110番映像通報システム」の試行運用を始めた。警察官が現場に到着する前に通話での説明だけでなく、映像による情報で状況を正確に把握し、迅速な初動対応につなげるのが狙い。半年間の施行を経て改善点などを洗い出し、来年4月から本格的に運用する方針だ。

福岡県篠栗町で2020年4月、5歳だった三男を餓死させたとして保護責任者遺棄致死罪で懲役5年が言い渡された碇利恵被告(40)=控訴=の共犯として、同罪などに問われた「ママ友」赤堀恵美子被告(49)の判決公判が9月21日、福岡地裁で開かれる。赤堀被告は全面的に起訴内容を否認しているが、碇被告の判決は赤堀被告による影響を認定しており、懲役10年を超える判決が言い渡されるのは確実だ。

大阪府高槻市で昨年7月、保険金目的で高井直子さん(当時54)を殺害したとして、殺人と詐欺未遂などの疑いで逮捕されていた養子の凜容疑者(28)が1日、福島署の留置施設で首をつって自殺した。府警の留置管理を巡っては2018年にも、富田林署から樋田淳也受刑者(34)=強盗致傷や強制性交など計20件の罪で懲役17年が確定=の逃走を許し、厳しい批判を浴びた。府警が失態を繰り返したとも言えるが、実は留置施設での自殺は少なくなく、留置管理の難しさも浮き彫りとなった。

新型コロナウイルスの感染拡大で中止になっていたマラソン大会の多くが、この秋からのシーズンは通常通り開催される見通しとなっている。一方、10月開催予定の横浜マラソンは参加費が2万円、来年3月開催予定の東京マラソンは2万3300円と発表され、ランナーからは「(他の大会も含め)参加費が急騰している」とため息が漏れる。マラソン大会は一般のイベントと違い、中止になっても返金されないケースが多い。コロナ第7波が猛威を振るう中、エントリーに二の足を踏むランナーも多いようだ。

東京五輪・パラリンピック組織委員会(以下、組織委)の高橋治之元理事(78)=電通顧問、元専務=が代表を務めるコンサルタント会社「コモンズ」が、大会スポンサーの紳士服大手AOKIホールディングス(HD)側とコンサル契約を結び、計約4500万円を授受していたことを巡り、東京地検特捜部は7月26日、受託収賄の疑いで高橋元理事の自宅や電通本社など、関係先の家宅捜索に着手した。

10日投開票の参院選で街頭演説していた安倍晋三元首相(67)が銃撃され死亡した事件を受け、二之湯智国家公安委員長は12日、警護警備態勢の検証を指示した。警護対象者の至近距離に容疑者の接近を許した上、察知した後も何ら対応できなかった前代未聞の大失態。時間の経過とともに見えてくるのは、プロとは思えない杜撰(ずさん)さばかりだ。

国から新型コロナウイルス対策の持続化給付金9億6000万円以上が詐取されたとみられる事件で、インドネシア当局は8日(日本時間)、グループ主犯格の谷口光弘容疑者(47)=詐欺容疑で指名手配=を不法滞在の疑いで逮捕した。近く日本へ移送され、警視庁捜査2課が全容解明を進める。持続化給付金を巡っては今月に入り、現職の国税局職員が絡む被害総額2億円の事件も発覚した。給付金は困窮する事業者を救済するため簡易な手続きで受け付けていたが、そこにつけ込んだ詐欺が横行。しかしここに来て、全国の警察が詐欺師たちを追い詰めている。

東名高速道路であおり運転をされたワゴン車の夫婦が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた石橋和歩被告(30)の差し戻し裁判員裁判の判決が6日、横浜地裁で言い渡される。この公判を巡っては、差し戻し前の一審横浜地裁の手続きに違法な点があったとして2019年12月、東京高裁が審理を差し戻していた。

山口県阿武町が新型コロナウイルス対策の臨時特別給付金4630万円を誤って住民1人の口座に振り込み返還を求めている問題で、山口県警は18日、誤給付と知りながら別の口座に移し替えて不法に利益を得たとして、電子計算機使用詐欺の疑いで無職、田口翔容疑者(24)を逮捕した。代償は極めて高そうだ。

一定の交通違反歴がある75歳以上の運転者に運転免許更新時の技能検査(実車試験)を義務付ける改正道路交通法が、5月13日から施行される。同日からは衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)などの機能を搭載した安全運転サポート車(サポカー)の限定免許制度も開始。既に実施されている認知機能検査や講習と併せ、母子が死亡した「池袋暴走事故」のような惨劇を防ぐための事故対策が強化される。一方、検査で不合格となれば免許が更新できなくなり、交通事情の悪い地方の高齢者にとっては厳しい措置となる。

日本からレバノンに逃亡した元日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告(68)に対し、フランスの検察当局は21日、自動車大手ルノーの資金を不正に流用した疑惑を巡り国際逮捕状を発布した。ゴーン被告は日本の司法制度を「不公正」と批判する一方、フランスの司法制度は「信頼できる」と捜査を歓迎。訴追されても「自らの無罪を立証できる」と強弁していた。
