堀内 亮
#17
エネルギーは国家の存亡に関わり、地政学と切っても切り離せない関係にある。ウクライナ危機をきっかけに、世界の「エネルギー地政学」は新たな転換点を迎えようとしている。

福島県沖で発生した最大震度6強の地震による影響で、首都圏と東北地方は22、23日、大規模停電の危機を迎えたが、なんとか乗り切った。しかし、今回のような大規模停電の危機は今後、恒例行事となる可能性がある。先進国ニッポンで電力不足を招いた真犯人は、いったい誰なのか。

#7
ロシアによるウクライナ侵攻に対し、欧米企業がロシア事業から撤退する動きが相次ぐ。そんな中、三菱商事、三井物産が参画するロシアのエネルギープロジェクトの動向に注目が集まっている。

#3
ロシアによるウクライナ侵攻で、原油相場は2014年以来の高値水準に突入した。世界景気の減速を招きかねない原油価格の高騰は今後、落ち着くのだろうか。

#2
石油メジャーの一角、英BPが19.75%保有するロシア石油大手ロスネフチの株式を売却し、ロシア事業から撤退するニュースは、世界のエネルギー業界を驚かせた。BPがロシアから撤退した理由について、業界関係者の間では、ロスネフチがロシアに対する欧米諸国の経済制裁の対象になる可能性が高いとみたBPが「いち早く逃げた」という見方が出ている。

ガス業界最大手、東京ガスの内田高史社長が3月末で就任から丸4年を迎える。東京ガスの慣例では“任期”が4年とされていて、今年4月の社長交代が濃厚だ。

石油元売り業界最大手のENEOSホールディングスは1月25日、和歌山県の和歌山製油所を閉鎖する方針を決めた。コロナ禍と脱炭素の加速による石油製品需要の減少が決め手となった。ENEOSは、2022年3月期決算で和歌山製油所の閉鎖に伴う減損処理を行う見通しだ。しかし、ENEOSを襲う“減損爆弾”は、他に二つも残っている。

【スクープ】パンの「神戸屋」が小売り事業縮小へ、資源インフレで悶絶
パン製造販売の神戸屋が、「神戸屋キッチン」などの小売り事業の大幅縮小を進めていることが分かった。首都圏の複数の不採算店舗を中心に、閉店が広がる見通しだ。小麦粉など原材料の高騰とコロナショックが重なり、戦略転換を余儀なくされているのだ。

#12
原油価格高騰の恩恵を受け、化学業界の各社は好業績をたたき出している。日本を襲うインフレは引き続き、化学業界に追い風となりそうだが、三菱、三井、住友の財閥系で明暗が分かれるかもしれない。化学セクターのトップアナリストである山田幹也・みずほ証券シニアアナリストが大胆に予想する。

#7
火力発電所の燃料である石炭と液化天然ガス(LNG)の世界的な価格高騰のあおりを受け、電気料金は値上げラッシュとなっている。大手電力会社3強のうち、東京電力エナジーパートナーと中部電力ミライズの値上げ幅は、九州電力の2倍を超えている。何が値上げ幅の差を分けたのか。

#3
日産自動車が米投資ファンドKKRに売却して上場廃止となった系列最大の部品メーカー、カルソニックカンセイ(現マレリ)が、2022年内に目指していた再上場を断念する方針を固めたことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。マレリの“救世主”も頭を抱えた再上場断念の真相に迫る。

環境に優しい再生可能エネルギーは、エネルギー業界の枠を超えて争奪戦となりそうだ。都市ガス業界の王者、東京ガスは争奪戦をどのようにして勝ち抜くのか。

脱炭素を実現するために、ありとあらゆる企業が環境に優しい「グリーンエネルギー」を欲しがっている。電力、ガス、石油元売りといったエネルギー企業にとって、異業種とのグリーンエネルギー争奪戦を勝ち抜けるかどうかが2022年の命運を決することになりそうだ。

政府が脱炭素への「切り札」として期待を寄せる洋上風力発電プロジェクト「第1ラウンド」の公募結果は、エネルギー業界の予想を大きく覆す衝撃のものとなった。三菱商事グループが、秋田県と千葉県の計3エリア全てを総取りする大勝利を収めたのだ。三菱商事の“独り勝ち”は、洋上風力発電が日本で成長するかどうかを大きく左右することになりそうだ。

日本卸電力取引所(JEPX)のスポット価格が、昨年に比べて3倍近い高値で推移している。JEPXから主に電力を仕入れる電力会社は、逆ざやが続いてキャッシュ流出が止まらない。「冬を越せない」と判断した一部のプレーヤーは、とうとう“撤退戦”を始めた。昨シーズンのように、倒産に追い込まれる電力会社も現れるかもしれない。

石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC加盟国でつくる「OPECプラス」は、毎月日量40万バレルを段階的に増産する従来の方針を2022年1月も維持することを決めた。原油高の恩恵を享受してきた石油元売り業界には二つの落とし穴が迫る。

#7
積層セラミックコンデンサーで世界シェアトップクラスを誇る電子部品業界の雄、村田製作所。同社は自社工場に再生可能エネルギー発電施設を自前で続々と導入している。「再エネ100%は、早よせなあかん!」と焦る中島規巨社長がその真意を語った。

#6
太陽光をはじめとする再生可能エネルギーで発電した「グリーン電力」の確保は、脱炭素社会でビジネスを展開するための“入場券”といえる。グリーン電力の調達に悩む企業の駆け込み寺となっているのが、コンサル業界である。空前の商機到来に、「ビッグ4」は顧客獲得争いでしのぎを削っている。

#5
NTTグループに空前の「モテ期」が到来している。子会社のNTTアノードエナジーに、再生可能エネルギー開発や事業買収などの依頼が殺到しているのだ。モテ期を好機と捉え、NTTグループは発電や小売り事業などに本格進出。電力業界は「NTTが本性を現した」と戦々恐々としている。

#4
日本最大の発電事業者であり、世界最大のLNG(液化天然ガス)取扱量を誇るジェラは、1750億円もの巨額を投じてフィリピンの大手電力会社に参画した。日本、フィリピンでの事業を通じて「東南アジア丸ごと脱炭素化」をリードする壮大な野望を抱いている。
