太陽光をはじめとする再生可能エネルギーで発電した「グリーン電力」の確保は、脱炭素社会でビジネスを展開するための“入場券”といえる。グリーン電力の調達に悩む企業の駆け込み寺となっているのが、コンサル業界である。特集『新・グリーンエネルギー戦争』(全7回)の#6は、空前の商機到来を迎えて顧客獲得争いでしのぎを削る「ビッグ4」に迫る。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
「TCFD」賛同の企業・機関数は
0本が断然世界トップだが…
日本は環境先進国で、気候変動に対する意識が極めて高いーー。日本政府や政治家らがこぞってアピールするその具体例として引き合いに出されるのが、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に賛同する企業・機関数だ。
TCFDとは、主要国の金融当局が中心となって2015年に設立された組織。企業が気候変動によってどのような財務リスクを受けるのかを投資家などに開示するよう提言している。
実は、このTCFDに賛同した日本の企業・機関数は542に上り、2位の英国(390)を大きく引き離して断トツを誇る。
しかし、TCFDに賛同しても実態が伴っていないプレーヤーが少なくないようだ。TCFDに賛同したある企業関係者は「取りあえずTCFDに賛同してみたものの、何も具体策は決まっていない。正直なところ、何をどうしたらいいか分からない」と実情を明かす。
TCFDに賛同する日本のプレーヤーには、どのようにして脱炭素に向かうのかというロードマップすら描いていない企業もあるのだ。
脱炭素に向かうためには、太陽光や風力といった環境に優しい再生可能エネルギー由来の「グリーン電力」を確保することが必須である。
グリーン電力と一口に言っても、調達方法にはかなりのバラエティーがある。後述するが、その調達方法によって、二酸化炭素(CO2)の削減量やコスト面などでのメリットとデメリットが存在する。
電力の仕組みや法制度によほど詳しい人材がいない限り、たいていの企業は、グリーン電力についてずぶの素人である。
そこで、グリーン電力調達の“お助け役”として、空前の商機が到来しているのが、コンサル業界だ。特に顧客獲得争いでしのぎを削っているのが、監査法人をグループに持つデロイト トーマツ コンサルティング、PwC Japanグループ、KPMGジャパン、EY Japanの“会計ビッグ4”だ。