
山本雅文
ロシアがウクライナ国境に10万人規模の兵力を集結させたことで、ウクライナ情勢が緊迫化している。ロシアと欧米諸国の間で交渉が続けられているが、合意の兆しは見られていない。ロシアによるクリミア併合などの過去を振り返ることで、ウクライナ情勢が為替市場に与える影響を考察する。

パウエルFRB議長は、昨年12月FOMC後の会見で、「前回のバランスシート縮小時の手法は今回のケースには最善ではないかもしれない」と発言。今年1月11日の再任指名に関する公聴会では、22年後半のバランスシート縮小開始の可能性が高いと証言し、今回はFF金利が1%に達する前に量的引き締め(QT)が開始される可能性が高まった。ただ、米利上げやQTが実施された2017年のドル円は「4つの特殊要因」で下落。今回も特殊要因がドル円上昇の抑制要因になるかを当時の経済環境から考察する。

ドル円は、米中期金利の上昇を受けて、11月24日に115円台半ばへ大きく上昇した。しかし、その後のドル円は上昇が一服し、上値の重い展開となっている。2022年のドル円相場を検討するうえで重要と思われる5つの注目点を指摘し、米国の金融政策や労働市場、日本や中国のマクロ経済環境を考慮しながら、ドル円「110円割れ」のリスクを検討する。

為替市場では、原油価格の高騰が続いていることから、原油輸入国である日本の貿易収支が悪化し、円安につながるとの見方も広がっている。ただ、原油価格の上昇は、インフレ期待などを通じて米金利の上昇につながり、ドル高を促す効果もあるだろう。日本の貿易収支とドル円の関係を振り返るとともに、原油高よりも円安を促す要因を過去の円相場から考察する。

今年7-9月期は、豪ドルやカナダドルなどの資源国通貨が下落したほか、ユーロも軟調だったが、ドルは横ばい圏で推移した。中国発の信用不安、インフレ、金融政策の正常化、そしてコロナが為替相場に多大な影響を及ぼした。10-12月期の景気、金融政策、コロナ、中国の行方を想定し、上昇余地の大きな通貨を大胆に提示する。

日本では遅くとも11月28日までに、ドイツでは9月26日にそれぞれ総選挙が予定されている。短期的には、両国の総選挙の結果が、為替相場に影響する可能性がある。選挙結果が為替相場に与える一般的な経路(チャネル)を3つとりあげ、日独両国の総選挙の結果に対する円とユーロの反応を考える。

6月以降のドル、ユーロ、豪ドルは、三者三様の動き。各国金融政策は、緩和一辺倒だった昨年と違、次のアクションが視野に入ってきた。著名ストラテジストが、米、ユーロ圏、オーストラリア各国の金融政策の動きを整理し、今後予想される金利の動きから、ドル、ユーロ、豪ドルの行方を明快に解説する。

4-6月期は、ドルが5月にかけて対欧州通貨を中心に反落したが、6月に米連邦公開市場委員会(FOMC)でタカ派のサプライズがあったことから、ドルは再び上昇する展開となっている。7-9月期の為替市場を見極めるうえで重要と思われる4つの焦点を紹介し、ドルを中心とする為替相場の先行きを明快に占う。

6月15、16日に開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)で公表された経済見通しでは、2023年末時点の政策金利見通しが、2回の利上げに引き上げられ、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、債券買い入れペースの鈍化(いわゆるテーパリング)について、近いうちに検討を開始すると発言した。これを受けて為替市場ではドルが上昇した。今後もドル高が続き、ドル独歩高の展開となりうるのかを2013年の金融引き締め局面との比較から考察する。

市場では、米連邦準備理事会(FRB)が2021年後半にもテーパリング開始に関する議論を始め、2022年初めに量的緩和の縮小(テーパリング)を開始するとの見方が強まっている。米国では年後半に集団免疫を獲得する見込みであるほか、バイデン政権による成長戦略が、早ければ7月にも成立する可能性が高い。2013年5月からの前回のテーパリング前後に観察された米金融市場とドル円の動きを整理し、今後のドル円の行方を考える。

1-3月期の為替市場では、米国の大規模財政出動期待を受けた米長期金利の上昇により、ドル円が大きく反発した。ただ4月に入り、ドル円はバイデノミクスが端境期に入ったことなどで伸び悩んでいる。一方、ユーロは対ドルで4月に入り反発しているが、ドルの上昇一服は一時的とみられる。著名為替アナリストが、年後半にかけてのワクチン接種の拡がりなどを視野に入れ、円相場の先行きに影響を与えるドルとユーロの攻防を大胆に予測する。

日銀は3月18~19日の金融政策決定会合後に、金融緩和を実施していくための「点検」結果を公表する。市場はイールドカーブのスティープ化促進、ETF買い入れの柔軟化、マイナス金利政策の副作用軽減措置を、政策変更の内容として期待しているようだ。仮に、こうした政策変更が実施された場合、為替市場では事実上の金融引き締めと認識され、円高が進展するのだろうか。為替分析の第一人者として長い経験を有する筆者が、点検結果公表後の円相場を直前予想する。

世界経済は総じて、コロナショック直後の想定を大きく上回る回復を続けている。こうした中、米国でもFRB高官が債券買入れの縮小(テーパリング)開始の可能性を示唆した。諸々の観測から、年後半には市場でFRBによるテーパリング期待が高まる可能性は高そうだ。前回、2013年のテーパリングにおける主要通貨と新興国通貨の値動きを確認し、足元の各国経済や為替市場の動きから、今回のテーパリングで予想される為替市場の反応を考察する。

ドル円は今年1月6日に一時102.59円へと下落した。ドル円下落は、円高局面と認識されがちだが、日銀が算出する貿易加重平均の円相場をみると、実は円安となっている。つまりドル円の下落は、円高ではなくドル安によるものだ。しかし実際のところ、これまではドル安が進む環境ではなかった。なぜドル安が進んだかを4つの背景から解きほぐし、ドル相場の今後の行方を占う。

2020年の為替市場では、スウェーデンクローナやユーロなどの欧州通貨が上昇する一方で、ノルウェークローナやカナダドルといった産油国通貨が下落した。ドル円は米国株と米長期金利がいずれも上昇したにもかかわらず下落。反対にユーロと豪ドルは堅調な推移となった。世界景気の行方やバイデン次期米大統領が打ち出すであろう政策などから、2021年のドル、ユーロ、豪ドルを大胆に予想する。

米大統領選・議会選では、新大統領にバイデン氏が就任し、上院では共和党、下院では民主党が、それぞれ議席の過半数を確保する見込みだ。この結果、米国は「ねじれ議会」(分断政府)となる可能性が高く、市場もそれを織り込んだ動きを見せている。分断政府の政策運営は、景気だけでなく、通商・外交、移民政策、環境・エネルギー政策などにも影響する。これらの要因が各国通貨に与える影響を整理しよう。足元で進む円高・ドル安の動きは続くのか。

米大統領選・議会選が11月3日に迫る中、市場では民主党・バイデン候補の勝利だけでなく、共和党が過半数を握る上院でも民主党が過半数議席を獲得し、民主党による統合政府、いわゆるトリプルブルーが実現するとの見方が広がる。こうした中、米株式市場では「バイデン銘柄」がベンチマークをアウトパフォームする一方で、ドル円相場は大きな方向感を見せていない。過去の民主党政権発足当初は、ドルが下落した後、終盤にかけて上昇する傾向があったが、今回はどうなるだろうか。バイデン勝利後のドル円相場を占う。

11月3日投票の米大統領選は、トランプ大統領の支持率回復に伴い、接戦となる可能性が高まっている。両候補の得票率の差が小さい場合、再集計が実施され、最終結果が判明するまで数日あるいは数週間かかるリスクもある。特に今回は、郵便投票が大幅に増加するとみられ、結果確定まで時間がかかりそうだ。結果確定に時間がかかった2000年大統領選中の米国株、米金利、ドル相場を振り返り、今回の大統領選におけるドル相場の行方を占う。

ドルが長期的な下落トレンドに入ったとの見方が強まっている。こうした見方を裏付ける理由として、米国の財政赤字の急拡大、米金利の低下、各国の外貨準備におけるドル比率の低下傾向などが指摘されている。しかし、こうした指摘は現実的ではない。むしろドルは、対円を中心に上昇する余地がある。ドル安期待を煽る3つの指摘の根拠不足を指摘し、ドル相場上昇の見通しを解説する。

豪ドルは3月に急落したが、その後大きく反発し、急落前の水準を回復している。中国での新型コロナ感染の早期抑制や景気回復に加え、銅価格の急反発、豪州中央銀行(RBA)の量的緩和策に対する消極姿勢が、豪ドル買いを後押しした。今後も中国や豪州の景気回復が続けば、豪ドルが続伸する可能性は高い。だが一方で、足元では豪中関係悪化による豪ドル売りリスクも出てきた。豪中関係を俯瞰してみよう。
