
山本雅文
ロシアによるウクライナ侵攻で始まったウクライナ戦争は当初の予想に反し長期化している。ただ、現在と今後の国際情勢の変化を踏まえると、ウクライナは戦闘を継続することが困難となる可能性が高まっており、停戦機運が従来よりも高まっている。ウクライナ戦争が妥協的な和平で終わる可能性が高いことを指摘するとともに、終戦/停戦/休戦となった場合の市場の反応を占う。

イスラム系武装組織ハマスがイスラエルを攻撃したことで中東の地政学リスクが一気に高まった。イスラエルが地上侵攻を開始すれば、イランが軍事関与を強めたり、ホルムズ海峡を封鎖するリスクも想起される。中東情勢悪化で生ずると考えられるリスクオフ局面と原油高が為替市場に与える影響を考察するとともに、過去のハマス・イスラエル軍事対立における市場の反応を確認し、中東情勢悪化による円相場の動きを考察する。

日本銀行の植田和男総裁は、読売新聞とのインタビューにて、マイナス金利を年末までに解除する可能性を言及した。同発言が広がった当初は円高の動きがみられたが、その後は、一転して円安の動きが継続。為替市場に対する日銀の影響力が低下したかのようにも見える。ドル円の反応が以前と異なることになった理由を日米金利差の変化や介入期待などから解説するとともに、注目すべきは米金利の動向であることを指摘する。

7月28日の日本銀行・金融政策決定会合では、イールドカーブコントロール(YCC)政策が修正され、日本の10年金利の事実上の許容上限水準が0.5%から1.0%へ引き上げられたが、ドル円は下がらず、むしろ上がった。日銀が昨年12月にサプライズ的に金融政策を修正した際にドル円が急落したのと真逆の動きだ。日銀がYCC柔軟化を決めた後に円安が進んだ要因を5つ指摘するとともに、ドル円は年末に135円程度まで下がると思われる理由を解説する。

7~9月期の主要通貨では、各国金融政策スタンスの違いが引き続き注目される。7~9月期に利上げが終了し、打ち止め感が広がるのかが通貨パフォーマンスに影響を与えるだろう。為替アナリストのベテランが、主要国中銀の金融政策の先行きを整理するとともに、主要国通貨の見通しを大胆に提示する。

ドル円は141円台へ上昇したことで、以前は主流とみられていたドル安円高予想に代わり、150円方向へ再び上昇するとみる向きが増えてきた。こうした見方に反して、依然としてドル安円高を予想する筆者が、米国経済・インフレなど“円安派”が指摘する6つの根拠を整理し、それぞれの見方に不確実性があることを指摘する。

ドル円は年初来安値の127円台から138円台に回復しているが、総じてみると今年は130-135円を中心とした方向感に欠ける展開が続いている。複数の要因が強弱どちらにも解釈できる「どっち付かず」の状態が続いているためと考えられる。ドル円が方向感に欠ける動きとなる要因を取り上げ、予想される今後の展開を大胆に分析する。

ドル円が年末にかけて120円に向かって下落する確率は高まったかのように思われたが、植田新日銀総裁の就任演説や、最近の米経済指標をうけ、ドル円が下落しない可能性が従来より高まっている。ドル円のリスクシナリオとして「140円」に向かう可能性を日銀の金融政策・追加修正や米金融政策の行方から考える。

突然の米銀破綻は、米国の追加利上げ期待を後退させ、為替市場では円買いが進んだ。日銀では4月に正副総裁が交代し、金融政策の追加修正期待も高まり、さらなる円買いを見込む声も広がりつつある。日銀の金融政策追加修正や、円高進展が続く可能性をファンダメンタルズから検証し、円高進展後の日本当局による「円売り」介入の可能性を考える。

1月16日に127.23円へ下落したドル円は、2月に上昇を続け、2月下旬には136円台半ばと、日銀による金融政策修正の直前の水準である137円台に迫った。今後もドル買いの動きが続く可能性と、一転してドル安・円高の動きが強まるリスクを大胆に指摘するとともに、米国の時限爆弾ともいうべき米債務上限問題がドル円相場に与える影響を考察する。

日銀は、1月18日の金融政策決定会合にて、金融政策の現状維持を決定。市場では、1月の会合で、金融政策がさらに修正されるとの期待が高まっていたこともあり、ドル円は一時131.58円へと急騰した。しかし、市場では、いずれ日銀が、イールドカーブコントロール(YCC)を撤廃するとの見方が根強いなど、ドル円の下値不安は高い。日銀の金融政策ツールであるYCCに加え、共通担保オペによるドル円相場への影響を解説するとともに、注目される日銀関連イベントや、ドル円との連動性が高まりつつある金利を紹介し、今年末までのドル円相場の行方を大胆に提示する。

2022年はドル独歩高だったが、2023年は既に始まっているドル反落が加速し、ドル全面安の年となるとみる。著名通貨ストラテジストが、ドル、円、ユーロ、豪ドルといった主要通貨の2023年見通しを景気、インフレ、そして金融政策といった観点から明快に提示する。

ドル円相場は、10月21日に152円近辺までへ急上昇したが、その後の日本政府・当局によるドル売り円買い介入で下落。あたかも介入でドル高円安が終わったかに見える。しかし、年初から独歩高だったドル相場は、9月下旬あたりから変調を見せていた。ドルが円だけでなく、他通貨に対しても軟調に推移している状況を整理するとともに、今後のドル相場の行方をファンダメンタルズの観点で分析する。

11月8日に米中間選挙が予定されている。現時点の米政府は、大統領と上下両院の政党が一致する「統合政府」の状態だが、米中間選挙で、上院の下院の両方、あるいは上院/下院のいずれかで共和党が過半数の議席を獲得すると、大統領と議会両院、あるいはいずれかの多数派が大統領と異なる政党の「分断政府」となる。米中間選挙を取り巻く米政治情勢を整理するとともに、米中間選挙が金融市場に影響を与えると考えられる結果を考察し、米政府のドル高容認姿勢の変化を占う。

政府・日銀は9月22日、24年ぶりとなるドル売り円買い介入に踏み切った。ドル円は、サプライズ介入もあって一時140円台前半に急落した。ここまで円安が進んだ背景をファンダメンタルズの点で整理するとともに、過去の政府・日銀による為替介入の規模、効果、持続性を検証し、今回の円買い介入で円高・ドル安に反転する可能性を考察する。

ドル円は7月14日に139.39円と、140円に迫る水準へ急上昇したが、8月2日にかけて130.41円へと6.4%も急落しており、既に下落トレンドに入ったとの見方も出ている。目先、ドル円への下押し圧力は残存するとみられるが、一方で、FRBによる利上げは続く見込みだ。ドル円の方向感を見出すうえで不可欠な米景気や米金融政策の先行きを占い、ドル円が下落トレンドに入った可能性を検証する。

7月14日、ユーロドルは一時0.9952と、パリティを明確に割り込み、02年12月以来の低水準となった。ユーロ安が進んだ背景には、米独金利差、天然ガス供給不安、イタリアへの懸念、経常収支の赤字化など多岐にわたる。ユーロ安の先行きを俯瞰するために、数多くの要因を整理するととともに、ユーロが反転・上昇する可能性を検討する。

ドル円は6月13日に一時135円台を突破。米連邦準備制度理事会(FRB)が、23年にフェデラル・ファンド(FF)金利を3%へ引き上げると、ドル円は138円へ上昇し、140円を付ける可能性も高まろう。テクニカル分析によると、02年の高値を上抜けた次の節目は98年8月11日に付けた147.64円が目途となる。円安が止まる要因を貿易収支の観点から整理し、注目される貿易品目の先行きを検討する。

G20、G7財務相・中銀総裁会議および21日の日米財務相会談では、円安懸念を国際社会も共有するというメッセージが出されなかった。しかし22日に円買い介入に関する報道がなされると、ドル円は小幅下落(円は上昇)した。日米両政府が円買い協調介入に踏み切る可能性をマクロ経済や日米政局から考察し、円が持続的に上昇するための条件を整理する。

22年1-3月期は、ウクライナ情勢の緊迫化などでユーロのアンダーパフォーマンスが目立ったが、4-6月期にはウクライナとロシアの停戦合意も期待される。またインフレ加速を背景に世界の金融政策は利上げ加速も期待されている。為替市場分析の第一人者が、世界経済や当局の思惑などから4-6月期の為替相場の行方を占う。
