
鹿野達史
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためのまん延防止等重点措置、緊急事態宣言で4月の消費額は発令前の3月から1000億円強、5月は同じく3月比で6000億円弱、下押しされたと推計される。ただ一方で、世界経済が堅調に推移していることから、輸出は拡大しており、景気回復の流れは消えていない。いわゆる「シリコン・サイクル」から今後の半導体需要を考察するとともに、景気急回復と株価上昇が期待できる理由を明快に解説する。

まん延防止等重点措置の適用や緊急事態宣言により、人出が減ることで感染拡大が抑制されるが、同時に個人消費も減少し、経済活動が落ち込む。内閣府が公表する消費総合指数をもとに推計すると、重点措置、宣言の発令で、個人消費は4-7月期に計1.8兆円ほど落ち込むことになる。ただ、1度目、2度目の宣言ほど経済活動は落ち込まない見込みだ。エコノミストがワクチン接種の進展や景気対策の効果を考慮し、日経平均3万円台回復の展望を語る。

政府は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止ための緊急事態宣言の期限につき、東京など9都道府県で延長し、まん延防止等重点措置についても、埼玉など5県で期限が延長され、21年4-6月の経済活動の落ち込みが懸念されている。そこで過去の緊急事態宣言下での経済データをもとに個人消費の落ち込み額を推計するとともに、2四半期連続のマイナス成長が濃厚な日本景気が急回復する期待が持てることを明快に解説する。

政府は4月に、まん延防止等重点措置を11都府県に適用し、東京・大阪・兵庫・京都の4都府県に対しては、緊急事態宣言を発令した。期限は、5月11日となっているが、延長も議論されており、経済活動に対する影響が懸念されている。発令される期間は、5月11日までとなれば、17日間で、過去2度の緊急事態宣言に比べ短くなるが、1か月の延長となれば、48日間となり、最初の宣言時に近づく。消費総合指数やGDP統計を使い、緊急事態宣言下での個人消費やGDPを推計し、今回の緊急事態宣言の期限が延長された時のインパクトを試算するとともに、政府に望まれる対応を紹介する。

3月調査の日銀短観では、製造業の景況感の大幅な改善が示され、非製造業でも景況感の改善が確認された。先行きについては世界経済の回復が続き、経済対策の効果発現も予想される。しかし、商品市況と金利の上昇が忍び寄っているのも事実だ。景気循環のエキスパートが、交易条件と企業収益の関係から、改善する企業の景況感と日本景気の先行きを占う。

緊急事態宣言の再発令により、今年1-3月期の実質GDP成長率はマイナス成長となる可能性が高い。しかし、輸出の拡大が続いていることもあり、足元の景気が底割れ、2番底を付けることはないだろう。むしろ先行きには、明るい要素が多い。それらの要素を検証しつつ、行き過ぎとの見方もある株式市場が描く「強い世界経済」が実現する可能性を解説する。

政府が緊急事態宣言の延長を決定したことにより、経済活動の落ち込みを懸念する声が強まっている。昨年の緊急事態宣言を含む4-6月期の実質GDPは、年率換算29.2%減の大幅な落ち込みとなった。今回の宣言延長で、GDP成長率は同じように落ち込むのだろうか。足元の経済活動を製造業と非製造業に分けて分析するととともに、前回と今回の2つの緊急事態宣言下での経済活動の様子を比較することで、日本景気の持ち直しが期待できる理由を解説する。

政府は、1都3県に緊急事態宣言を発令し、その後も他自治体を宣言の対象に追加した。昨年4月の緊急事態宣言で落ち込んだ個人消費は、宣言が発令された当初、半減するとの見方もあったが、実際には1割弱の落ち込みにとどまった。今回の緊急事態宣言は対象が限定的で期間も短いが、個人消費の落ち込みは不可避だ。個人消費の落ち込みで大きく悪化するとみられる21年1-3月期の実質成長率を見通すとともに、日本政府に求められる対策を解説する。

新型コロナ感染の第3波が襲う中でも、日本の経済活動は回復が続いている。企業の生産活動を示す鉱工業生産指数は、6月から10月まで上昇が続いている。サービス業などの経済活動の動きを表す第3次産業活動指数も同様で、5月のボトムから9月まで上昇が続いている。先行き不透明感が強まる中で、中期と長期の景気循環からエコノミスト視点で日本景気の今後を考える。

日本景気は、秋にかけても、回復の動きが続いている。景気動向指数のCI一致指数や景気ウォッチャー調査からも、景気回復の傾向が見て取れる。菅首相が策定を指示した追加経済対策の効果や世界経済の回復を考察し、日本景気の回復が続く可能性を考える。

個人消費は7月に減少したが、8月は再び増加し、9月以降も消費の増加は続いている。7月の落ち込みは、新型コロナ感染者数の拡大だけでなく、例年より気温が低いことによる天候要因も押し下げ要因として働いていたようだ。今後は「GoToトラベル」など政府による需要喚起策が、個人消費を下支えする可能性も期待できる。定額給付金の所得への影響や「GoTo」によるGDP押し上げ効果を試算し、今後の個人消費の動向や求められる政策対応について考える。

歴代最長となった安倍政権は幕を閉じ、後継の菅内閣に政権運営が引き継がれる。安倍総理の就任とともに始まった「アベノミクス景気」は、戦後最長となった「いざなみ景気」の73カ月に迫る長期となった。ただアベノミクス景気は、賃金や家計所得が増えず実感のない回復で、個人消費も伸びなかったとの指摘も多い。経済指標や各種サーベイの結果をもとに、アベノミクス景気に対する各種批判の是非を確認する。

20年4-6月期のGDP統計・1次速報では、実質GDPが前期比年率27.8%と戦後最大の減少となった。実質GDPの内訳をみると、個人消費と輸出が2四半期連続のマイナスを記録した。ただ、月次ベースで景気指標をみると、日本景気が5月に景気の「谷」を付け、回復局面に入っていることが考えられる。月次の経済指標を俯瞰し、日本景気回復の可能性を検証する。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の落ち込みに歯止めがかかっている。政府の緊急事態宣言や地方自治体からの外出自粛、休業要請が解除・緩和され、国内消費や小売業の販売額が小幅ながら増加している。また、経済活動の再開が各国・地域で進んでいる。ただ一方で、国内では新型コロナの感染者数が再び拡大しており、「感染拡大の第2波」への懸念は根強く残る。年度下期に日本景気が失速するリスクはないのか。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済活動の落ち込みが確認される一方、株価は堅調な推移が続いている。その背景には、景気の落ち込みが思ったほど急激なものにならなかったほか、景気がすでにボトムをつけ、回復が続くとの見方が織り込まれていることがありそうだ。株価の上昇は今回も日本景気の回復を示唆しているのか。ヒトの移動や世界経済などから確認する。

政府や地方自治体による外出自粛や休業要請により、経済活動は大幅に落ち込んだ。4-6月期の日本の実質GDPは、年率で20%を超えるマイナス成長となるとの見方が多い。ただ、ここにきて経済活動の落ち込みに歯止めがかかり、持ち直す動きも出ている。緊急経済対策による景気の下支え・押し上げ効果などから、今後の日本経済の展開を考える。

小松左京の小説『復活の日』では、猛烈な毒性を持つ新型ウイルスが世界的に蔓延し、人類、哺乳類などがほぼ死滅するが、ウイルスが低温では毒性を持たないことから南極大陸にいた人類だけが生き延びた。今世界で起きていることは小説さながらで、国際連合は感染拡大による世界経済の縮小により、全世界で数千万人が貧困に陥る可能性を指摘している。日本のGDPは25%程度落ち込む見込みだ。小説のように日本経済は「復活の日」を迎えることができるのか。

4月1日発表の3月調査・日銀短観では、企業の景況感を示す業況判断DIが製造業(大企業)でマイナス8となり、19年12月調査のゼロから8ポイント低下した。製造業の業況判断DIがマイナスになったのは7年ぶりのことだ。3月中旬以降に強まった外出自粛要請の影響などは織り込み切れていないかたちで、実際にはすでに不況期入りしている可能性がある。推計される4-6月期の実質GDP成長率とデフレギャップも不況入りを示唆している。

新型コロナの感染拡大に伴う世界的な株安の連鎖はいったん止まったが、金融市場の不安定な動きは続いている。減少していた新たな感染者数が再び増加基調に転じ、世界経済の先行きへの警戒感は払拭されていない。ただ、各国政府・当局は景気対策を実施しており、FRBは緊急利下げに踏み切った。感染者数が減少し、新型コロナ感染が終息に向かったときの株価や経済活動を展望する。

新型コロナウイルスによる肺炎感染が警戒される中、経済活動への影響も懸念されている。中国政府は、武漢市などで交通機関の「封鎖」を実行。さらに国内・海外の団体旅行を中止するなど、感染拡大の封じ込め策を実施している。ヒト・モノの移動の制限が経済活動を阻害する公算は大きい。日本経済への影響を、SARS流行時のデータを参考に定量的に試算する。
