Photo by Hirobumi Senbongi、GE

三菱重工業と日立製作所が火力発電用ガスタービン事業などを統合してできた三菱日立パワーシステムズの成長戦略に黄色信号がともっている。発電の運用サービスで世界の“2強”に後れを取っているためだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)

 7月13日、曇り空の下、栃木県真岡市の工業団地で同県知事らが報道陣のカメラのストロボの光を浴びていた。知事らを取り囲んだ記者は30人超。これほど注目を引いたのは、県内の電力需要の4割分を供給できる大型の火力発電所の起工式だったからだ。

 発電規模の大きさで耳目を集めたこのプロジェクト。実は、発電機器メーカー関係者の間では、「入札の転換点」になるとして、別の意味でも注目されていた。

 従来、入札による受注争いの勝敗の決め手は「発電効率」だけだった。だが、近年、発電機器の故障を減らし、稼働率を高める「運用サービス」も重視されるようになり、この栃木県のプロジェクトでは運用サービスが入札の条件に入った。現在、国内の大型案件ではそれが当たり前になっている。

 このプロジェクトのガスタービンを供給するのは、ガスタービンメーカー3強の一角を占める独シーメンス。同社日本法人の藤田研一専務は「長期メンテナンスを請け負ってきた海外での実績が評価された」と、勝因を語る。

 大型のガスタービンを製造するのは、最大手の米ゼネラル・エレクトリック(GE)とシーメンス、三菱日立パワーシステムズ(MHPS)の3社だ。このうち、シーメンスは発電所の運用サービスを先行して強化してきた。世界で600カ所以上の発電施設で長期保守契約に基づく運転支援を行い、70カ所で運用全般を受託している。