目標を達成するには欠かせないことがあります。会社が決めた目標を自分の目標としているか、です。ここに苦心しているリーダーが多いと思いますが、意外にも簡単な方法で導けます。重版が決まった新刊『トヨタの伝説のディーラーが教える絶対に目標達成するリーダーの仕事』から、その方法を紹介します。
組織の目標を自分の目標と考える
組織目標を部下に下ろす際にポイントがあります。それは、単に目標を与えるだけではなく、お互いに共有することです。
単に上から下へと伝えるだけでは、スタッフにとって目標は、押しつけられたノルマでしかありません。それを絶対に達成しなくてはならない命題として認識させるには、「組織の目標=自分の目標」と考えてもらう必要があります。
具体的な方法は次の通りです。
1.組織目標について、自分なりにかみ砕いて説明する
上部の組織から与えられた目標がある場合、その目標をリーダー自身がかみ砕いて分析します。与えられた目標は適当に設定されたわけではありません。
必要最低限、これくらいは稼がなければならないという損益分岐点があり、その上に、チームに対して期待される利益がオンされて、最終的な目標数値として設定されています。その大まかな数値をチームのメンバーに説明してください。
2.各スタッフから目標値を自己申告してもらう
組織目標を頭に入れてもらったら、そのうえで、自分たちがどんな目標をクリアするべきか、スタッフ各自に考えてもらいます。目標を自分自身で立てさせることで、達成への責任感が生まれ、自らモチベーションを上げさせる効果があります。
3.その目標値を集計する
各スタッフが立てた目標数値を集計します。おそらくその数値は、設定された組織目標の数値よりも少し上回る結果になるでしょう。日本人というのは謙虚で組織に対する忠誠心がある国民性を持っています。私の経験からいって、集計した個人の目標数値が、組織目標の数値を下回ることはほとんどありません。
4.各スタッフの目標を下方修正する
組織目標よりも、個人目標の集計のほうが大きいという結果になった場合、各スタッフの目標を下方修正させます。
たとえば組織目標が契約数20件に設定されているのに対し、各自が立てた個人目標はAさんが10件、Bさんが8件、Cさんが5件で、合計が23件だったとします。
この場合、Aさんを9件、Bさんを7件、Cさんを4件というように、それぞれ下方修正させるのです。
目標が上方修正されると抵抗感を覚えますが、下方修正された場合には、「達成しなければ恥ずかしい」「みんなの足を引っ張るわけにはいかない」と、より強い責任感と緊張感が生じます。そこが狙いです。
自分で発表した目標には責任感が伴う
このようにして目標を共有することで、チームのメンバーの間で組織目標に対する認識が共有されます。そして、達成への責任感が全員のなかに醸成されるのです。
もちろん毎回同じことをやっていれば、スタッフもだいたい勝手がわかってきます。「契約数10件という目標を出しておけば、下方修正されて8件くらいになるかな」というふうに。
それはそれで一向に構いません。大事なのは、自分の口から具体的な目標を言わせるということです。
上から命令された目標と、自分で考えて自分の口で発表した目標では、自覚や責任感が大きく異なります。
数値目標に限ったことではありません。「お客様を待たせることをしません」「必ず笑顔で接客します」などと、状態目標も自分自身で考えて発表してもらうほうが、一方的に押しつけるよりも効果的です。
注意しなければならないのは、目標を達成できなかったとき。
決して、「自分で言ったことすらできないのか!」「自分で口に出したことぐらい守れ」などと、叱責の材料にはしないこと。
それをやったら最後、スタッフはリーダーに不信感を抱いてしまいます。ご注意ください。