2位を目指していたら、一生1位になれない

ビジョンを示すときには、必ず「1位」を目指す未来を見せるようにします。

 スポーツでも「10位以内を目指したい」「まずは表彰台を目指したい」などと言う人がいますが、志が低いのではないかと疑ってしまいます。

 もちろん、「今現在力が備わっていないから徐々に力を付けて順位を上げていきたい」という考え方は間違っていません。しかし、の頂上を目指しながら登るのと、中腹を目指しながら登るのでは、踏み出し方がまったく違ってきます

 1位を目指して懸命に取り組み、それでも2位になったなら仕方がありません。でも最初から2位を目指して取り組んでいたら、一生かかっても絶対に1位にはなれないのです。

 私がトヨタで連続目標達成を記録した店舗は、7つのディーラーが集まるモール街の1店舗として新規オープンした店でした。周りがライバルだらけの厳しい立地で、配属されたメンバーはクセのある人たちばかり。平たくいえば「寄せ集めの集団」でした。

 おそらく本人たちは、「こんな店で大丈夫だろうか」と心配になっていたと思います。

 しかし私は店舗のスタートに当たってはっきりと、「全国の店舗でトップを目指す」と宣言しました。リーダーである私が迷うことなく、最初からはっきりと言い切ることで、メンバーたちにも本気になってもらうことができたのです。

「いずれ1位に」ではありません。「今期(今月)から1位を目指す」。そんな強烈なビジョンをリーダーは掲げてください。最初にバシッと言うことが肝心です。

 明確に順位が付かない業務に携わっているチームではどうすればいいでしょうか。

 たとえば、「同業他社のなかで企画力ナンバー1の宣伝部」「地域で顧客満足度ナンバー1の店」などをイメージして、それを達成するためにありたい姿とは具体的にどんな状態か、「状態目標」を掲げてみるのもいいでしょう。

 その具体的なイメージをチームで共有することで、ありたい姿に向かって日々の活動を進めていくことができます。