かつてない不況により、あらゆる商品の売り上げが激減している。それは、デジタル製品とて例外ではない。
目下、唯一気を吐いているPCでさえも、来年は苦戦に陥りそうであり、携帯電話やコンパクトデジカメに至っては、惨憺たる状況が予想される。かたや、同じ悪環境下においても、液晶テレビやブルーレイレコーダーは、今後需要が拡大する可能性がある。
今回は、「デジタル市場」の2009年のトレンドを、いち早く分析してみよう。
まずは、本記事執筆時点で唯一気を吐いているPCである。この11月は、なんと対前年比でプラスとなっているのだ。数値は統計によっても異なるが、少なくとも世の中の景況感ほどは悪くない。
ただし、メーカー各社や販売店に聞いても、「来年は苦戦が予測される」という見方が大勢を占めているのが現状である。
新しいOS「Windows 7」の登場も、まだしばらく先だ。今のところ、インパクトのある買い換えのタイミングは、見当たらない。ネットブックのヒットも相まって、2009年は「低価格化」の様相が色濃くなりそうだ。
とはいえ、スペック的にはいっそうの向上が望める。2009年の春モデルも一部登場しているのだが、驚くのはメモリーが標準で4GBになりつつあることだ。
32bitのOSでは、4GBのメモリーを搭載したところで実質3GBまでしか使えないのだが、メモリー価格の暴落によって、一気に4GBが標準化の様相を呈している。
また、画面のワイド化も目立っている。これまでも、およそ16対10のワイド液晶が一般的だったのだが、さらに細長い16対9液晶を採用した機種が増えてきた。
ハイビジョンのビデオやDVDコンテンツを見るにはちょうどよい画角だが、4対3のデジカメ写真をフルスクリーンで見るときには、かなり左右が余ってしまう。とはいえ、テレビパソコンやAVモデルを中心に、16対9への流れは決定的だろう。
話題のネットブックは、各社ともいよいよ苦しくなってきた。どの製品を見ても、違いがわかりづらく、ただでさえ安価な製品が価格勝負を始めているのだ。今後は、価格一辺倒のモデルだけでなく、ある程度の付加価値を持った製品が登場するだろう。
個人的に興味深くウオッチしているのが、価格下落傾向のなか、意に介さず独自のプライスを掲げるMacだ。たぶん年明けには、新たな「MacMini」や「iMac」が登場するだろう。果たして、価格は下げて来るのだろうか? また、ネットブック的なモデルは登場するだろうか? 今から楽しみである。