イニシャルコストとランニングコスト

 コストという言葉は、損益から見たコストだけでなく、設備投資のコストの意味合いも含まれます。

 損益面から見たコストをランニングコスト、設備投資に関するコストをイニシャルコストといいます。

ランニングコストは、毎月継続的に発生する経費のことです。損益計算書に原価や経費として反映されるので、皆さんにとっても馴染みやすいコストといえます。

 一方で、イニシャルコストですが、これは新規事業を開始したり、新たに設備投資を実施する場合、事業が開始されるまで、また設備が稼働するまでにかかる初期費用のことを言います。

 このイニシャルコストで重要なことは、会計処理面では固定資産や繰延資産に計上され、数年にわたって償却(経費化)されることが多いことから、「投資に対する回収計画」をしっかりと事前に把握しておくことです。

 例えば、3000万円の機械装置を購入した場合、その減価償却費が毎年いくら計上されるのかはもちろんのこと、導入に伴って売上、コスト、利益にどのような変化が起こるのかを事前にシミュレーションしておくことが重要です。

 よく、業界最先端の機械装置を買って満足という経営者がいらっしゃいます。しかし、投資に対する回収状況を把握しておかないと、その投資が成功したのか、失敗したのかがわかりません。

 あくまでイニシャルコストをどれぐらいの期間で回収するのか?その回収期間をしっかりと事前予測することが重要です。

 また、設備投資や新規事業の開始に伴って資金調達が必要な場合は、その返済計画も含めて資金繰りが円滑に回るのかどうかも判断しなければなりません。

イニシャルコストをしっかりと把握できてこそ、コスト管理ができているといえるのではないでしょうか。

※次回は、12月6日(火)に掲載します。