また、「ゴルフ大会」も風景になっていたので、2016年から取りやめにしました。

 経営サポート事業部(中小企業のコンサルティングを行う事業部)では、年に一度、経営サポート会員(中小企業の社長)をお招きして、ゴルフ大会を開催していました。

 サポート会員が200社のとき、参加した社長は40人でした。その後、会員数は600社超に増えたが、ゴルフ大会の参加者は20人に減った。

 会員数が3倍に増え、ゴルフ大会の参加者が半分に減ったので、「ゴルフ大会が風景になっている」と解釈できます。だとすれば、なくしたほうがいい。続ける意味はないと判断しました。

当たり前の「風景」の中に改革のヒントが

 先日、あるガス販売会社(LPガスの入ったボンベを決まったお客に配送)を視察したときのことです。

 配送トラックにボンベを積み込んでルートを回り、ガスの入ったボンベと、空のボンベ(ガスが少なくなったボンベ)を交換。すべて交換し終えたら会社に戻ってきて、空のボンベにガスを充填。あるいは、ガスの入ったボンベと積み替え、またセールスに出かける。この繰り返しです。

 ボンベにガスを充填し、トラックに積み込むのに、40分ほどかかりました。
 私はすぐに「おかしい」と気づきました。
 なぜなら、この40分間は、セールスマンにとって「待つだけの時間」であって、非生産的だからです。

 この会社の社長は、「配送トラックは、セールスマンと同じ数だけあればいい」「セールスマンは、自分に割り当てられた配送トラックに乗るのが当たり前」だと考えていました。

 社員Aは1号車、社員Bは2号車、社員Cは3号車に乗ってルートを回ると決めていた。
 朝、セールスに出た社員Aは、昼に会社に戻ってきます。

 そして、ボンベにガスが充填されるまで何もせずに待ち、充填が終わると、再びセールスに出て行きます。社員BもCも同じです。

 この会社にとって、「ガスが充填されるまでの待ち時間」は“風景”になっていた。
 このやり方に誰も疑問を持っていなかったのです。

 私はこの会社の社長に、「セールスマンが3人でも、配送トラックを『4台』用意したほうがいい」とアドバイスした。

 そして、1号車に乗った社員Aが会社に戻ったら、社員Aは1号車にガスを充填するのではなく、「あらかじめ準備しておいた4号車」に乗ってすぐにセールスに行かせます。
 次に会社に戻ってきた社員Bは、準備済の1号車に乗ればいい。

 こうして、常に1台余分に配送トラックを用意しておけば、セールスマンと充填担当者の時間をムダにすることはありません。効率よくルートセールスができるので、残業もなくなります。