人によって良し悪しの判断がことならない目標を設定することは、意外と難しいものです。正しく目標を設定することは、仕事の成果を上げるためには重要なポイントです。トヨタ自動車でホワイトカラーの業務の質の向上を推進するメンバーが、トヨタグループ内外の仕事の進め方の参考としていただければと編集した書籍『トヨタ公式 ダンドリの教科書』から、「仕事の目的・目標の正しい考え方」のノウハウを紹介するその第1回です。
ノウハウ1
前回の目的とともに目標と結果のギャップを把握する
多くの仕事には、前任者がいたり、過去にすでに行われたりしています。過去に作られた資料やデータが残されていたりすることも多くあります。
前回設定した目的を把握するとともに目標と実施した結果のギャップを確認します。そのギャップをどのレベルまで改善すべきかを考えることで目標が具体的なものになります。
また、前回目標を達成していたならば、一段高いレベルの目的・目標を考えるとよいでしょう。
ノウハウ2
仕事の背景との整合性を確認する
組織の役割・ビジョン、プロジェクトの目的・目標、仕事が設定された背景との整合性を確認します。それぞれの仕事は、組織の役割・ビジョンの達成やプロジェクトの目的・目標を達成するために存在します。
仕事の目的・目標は、そうした上位の目標との整合性を確認することで、はっきりしたものになっていきます。また、その仕事がなぜ設定されたのかを上司や関係者に確認することで、目的・目標を明確にすることができます。
ノウハウ3
現状のレベルを確認する
何らかの問題・課題が認識されているために生まれた仕事であれば、その状況や現状のレベルを把握していきます。その状況やレベルをどこまで改善するのかを考えます。
目標(到達レベル)を設定していく際、現状の確認は極めて重要になります。現状を把握せずに目標を設定してしまうと、正しい目標設定ができなくなる危険があります。
目標設定をするときに、今どこにいるのかがわからないと、目標が高すぎたり、低すぎたりしてしまいます。
例えば、組織の英語力を高めることが仕事の目的になったとします。このとき、今の組織のTOEICの平均点が400点なのか、600点なのかで、まずはどのレベルを目標とするのかが変わってきます。現状をよく知ることで、妥当な目標値が設定できます。
ノウハウ4
予算や納期など、制約条件を確認する
ほとんどの仕事には、何らかの制約条件があります。何でも自由にやっていい、ということはまずありません。仕事の目標(到達レベル)の設定のためにも重要なことは、そうした制約条件を確認していくことです。
例えば、予算や納期など、すでに設定されている目標の要素はないか。また達成すべき目標レベルが上位方針に設定されていないか。法規やルール、安全、環境、コンプライアンスなど、目標に考慮する必要はないかを考えます。
目標(到達レベル)を明確にしていく際には、こうした制約条件を確認しておくことが大切になります。