あまり考えずに「とりあえず」仕事を進めた結果仕事がやり直しになった経験をしている人は多いのではないでしょうか?もしかしたら、やり直していることに気づいていない人もいるかもしれません。同じアウトプットを出すのであれば、より効率的に仕事を進めることでホワイトカラーの生産性は向上します。トヨタ自動車でホワイトカラーの業務の質の向上を推進するメンバーが、トヨタグループ内外の仕事の進め方の参考としていただければと編集した 書籍『トヨタ公式 ダンドリの教科書』から、「仕事の手順を明確にする」のノウハウを紹介するその第1回です。
「実施すべきこと」と
「その順番」が「手順」
「最終的なアウトプット」を出すために「実施すべきこと」と「その順番」が「手順」です。トヨタの仕事術では、仕事を進める前に手順を考えてから行動することで、よりやり直しを少なくすることができると考えます。
ところが、仕事をするときに、手順は意外に意識されていません。もちろん、ぼんやりとはあるのかもしれませんが、手順を考えずに「とりあえず」で仕事を進めてしまう人が多いのではないでしょうか。
不思議なもので、しっかりと手順を考えておらず、順番はバラバラなのに、それなりの結果が出てしまうことがあります。ぼんやりとしたやり方でも、それなりに仕事はできてしまうのです。
しかし、いつもうまくいくとは限りません。それは、たまたまうまくいったに過ぎない、ということが多いのです。
大切なことは、手順をしっかり考えたうえで仕事を進めることです。そうすることで、手順がしっかり構築できるようになります。それぞれの手順で精度を上げていくことで、結果につなげていくことができます。
そうすることで無計画のまま仕事を行い、何度もやり直すことになり、結局、希望納期に間に合わなかった、などということが、起こらなくなっていくのです。
後工程の「お客さま」が
何を求めているか
手順が大切なのは、後工程の「お客さま」に効率的に質の良いアウトプットを提供するためです。そのためには、事前に「お客さま」が求めていることを意識し、手順を考え、それを明確にして、計画を立てることが重要になります。
やみくもに自分の都合の良い手順を作っても、うまくはいきません。後工程の「お客さま」が何を求めているか、理解をすることが大切です。
また前任者のノウハウが蓄積されていれば、それを活用することができます。繰り返す仕事は効率的に行い、より付加価値を高めるために時間を割くことが可能になります。
では、「仕事の手順」を明確にするときの、11のノウハウを挙げていきましょう。
(1)前回までの仕事の手順を確認する
(2) 前回までの問題点とうまく進められたことを把握する
(3)前回からの変化点を考え、変化に対応する手順を考える
(4)仕事のシーンを思い浮かべる
(5)まずは手順を大まかに考えてみる
(6)一般的な手順を参考に考える
(7)関係部署(関係者)を考え、各手順のつながりを考える
(8)他の同じような仕事の手順をベンチマーキングする
(9) ゴールから各大まかな手順の実施タイミングを考える
(10)リスクを想定し、対応策を手順に織り込む
(11)自分が行動できるレベルまで手順を分解する
次回から、それぞれの内容を紹介していきます。