もちろん、予防接種をしてもインフルエンザに罹るかもしれません。しかし、それでもプロたるもの、やるべきことはすべてやるべきなのです。そうして万全な対策を講じてもダメであれば、それは仕方がない。仕方はないけど、それでも、それはとても痛い事態であり、その穴を埋めるべく協力してもらった人には値万金の感謝をすべきであるし、穴をあけた責任は痛感し、土下座するほどの気持ちで謝る必要があるのです。

 病気ばかりの話ではありませんが、そんな研ぎ澄まし感がない人間を、(悪い意味で)「組織人」というような気がしています。

「自工程完結主義」とは
どういう意味か?

 組織の一員であっても、一人ひとりが自分の足でしっかりと立つ。皆がこういう感覚になれば、組織はかなり強くなると思います。

 そうした組織づくりを徹底しているのが、トヨタ自動車です。同社には、「自工程完結主義」という言葉があります。「自分の工程で自分の仕事は完結しろ」という意味です。「納期も含めて、絶対に後行程に迷惑をかけるな」という思想信条であり、強固な文化です。

 徹底しています。「後工程をお客様」と教えられます。そして、自分の前工程に万が一何か不備があったら、後工程である自分の工程で、その遅れも引き受けて完結させる。つまり、不備を自分が止める。ラストマンの心意気です。

 これが徹底されれば、確かに仕事はスムーズに流れます。一人ひとりもプロであるし、組織全体がプロ集団ということになるわけです。

 決してもたれ合わない。組織の中にはいるけれども、「私」は一人で立っているという感覚です。こうならない限り、「働き方改革」もあり得ないと私は思います。

 これは、何も生産ラインだけの話ではありませんし、同僚同士の関係にも留まりません。たとえば、上司が部下に会議の資料を作らせるときに、「この資料、必要になるかもしれないから、一応作っておいて」という頼み方が少なくないと思います。それで翌月、「先月の資料、また作りますか?」と聞くと、「うん、一応作っておいて。それと今月はこの資料も頼むな」などと、資料をどんどん増やしていく……。

 それで会議では結局ほとんどの資料を使っていないとなれば、これは依頼する側=上司がズブの素人ということになります。「会議の進行も予測できずに、会議に出席などするな!」と言いたいところです。

 しかも、そのために増えてしまう「念のための資料作り」を部下に準備させるわけですから噴飯ものです。これは、自工程で完結していないということです。なぜならその上司は部下という後工程の仕事を増やしているからです。